ぼちぼち観察記録

見た舞台の感想やオススメや自分語り。関西小劇場と推しさんとミュージカル。

劇団壱劇屋 『五彩の神楽 心踏音~Shintouon~』

先月分の感想を一昨日書いたばかりですが今月分は早めで!先月はジャー忍開幕とかレミゼとか色々あったからな…秋が怒涛のように過ぎていく。

 

『憫笑姫』感想

yhforestmk.hateblo.jp

『賊義賊』感想

yhforestmk.hateblo.jp統一感もたせようと同じ写真にしたけど逆にわかりづらかったなこれ。

 

『心踏音~Shintouon~』

これは“男”の物語

生まれたときから
男の世界に光はなかった

 

耳は目になり
少し世界が明るくなった

 

生まれたときから
女の世界に音はなかった

 

足音は声になり
少し世界が輝いていった

 

二人は出会う
世界は眩しく色付いていく

 

闇は音もなく近づいてくる

 

これは“男女”の物語
光を奪われた男は復讐の修羅となる


 

劇団壱劇屋 番外公演「五彩の神楽」特設サイト

 改めて見るとこのあらすじ、ちょっと勘違いしてしまう。もしくは脚本が変わったのかな?女(フミ)に『音』がないって、盲人との対比で耳が聞こえないのかとしばらく思ってた。首に手を添えるシーンで『喋れない』ことを表現してたけど、精神的なものかと思ったら台本には「首に古傷」とあって、それは全然わからんかったなぁ。でも喋れないことが伝わってたならいいんだな。聞こえてることは見てたらわかるし。

 

セットがど真ん中にあったからか、今回メインが二人とも男性だったからか、板の上から感じる圧が半端なかった。でもフミとの心の触れ合いはとても穏やかに可愛く描かれていて、緩急の差がジェットコースター。ハラハラした。

でも、セットがそこにあることで『死角』が多い。色んなものが『見えない』。戦っている相手さえも。これはあとで改めて。
効果的に使われている照明もそうだった。フミが死ぬシーン、盲人視点の一回目だと舞台下手半分が暗い。目を凝らせば見えるけどそうではなくて、舞台における照明当たってないとこって『見えていない』ってことだし見なくていい(というと語弊あるかもけど)。実際わたしはそっち見てなかったから、フミがいきなり倒れてるように感じて「えっ何!?重要なとこ見逃した!?どしたの病気とか!?!」って混乱したけどこの反応大正解だと思う…笑

フミの助けに気付かない、もしくは誤ってフミを斬ってしまうっていう最悪の展開を予想していたらそのどちらでもなくて、フミと岳人と笑人それぞれの優しさと決意がやるせない。その分、鈴人に全部の恨みをぶつけられるのは有り難いな…完全に元凶。お前な!何やっとんねん!

 

坂口さんも竹村さんも他のモブとあまり変わらない(とはいえロングコート最高やん)黒の衣装で、お二人の顔もわかるし体格でも見分けつくとはいえたまにモブに埋もれてて、特に竹村さんは結構見失ったんだけどそれすらフラグか…。
斬られても立ち上がる坂口さんの不気味さにゾッとした数分後に、刺されているのが竹村さんに変わる衝撃よ…。体格近いけど明らかに髪型が違うから、「あれ!?」って一発で気付けるのが良い。
鈴を鳴らしながらも本気で殺そうとしてなかったのに、最後だけめっちゃ音と声で盲人の耳を撹乱してまで殺しにかかってるのなんで!?って思ってたので、繰り返しですっきりしたし泣いた。槍を床にドンドン打ち付けながら「声出せ!!」って感じで指示出してるの、鬼気迫ってて明らかに異質だった。

一回目(盲人視点)で笑人が死んでたのは、いなくなったから死んだと盲人が解釈したか、笑人が岳人の役目を託されたことによって自らの存在を殺したようなものなのかな…と思ったら台本に答えあったんですけどね。前者だった。

先月はどんどん増えていく回想で、今回は完全に視点の変わる繰り返し。た、たけむらさーーーん!!すげぇ!!って何度も脳内で叫んだ。繰り返しスパンが早いから、まだ細かいとこを覚えてるうちに種明かししてくれるのありがたい。笑人が鈴が鳴る前に周りの民衆を避難させようと走り回ってるのに泣ける。本当に優しい。

盲人はあれだけ耳に神経を研ぎすませているなら、指示を出す笑人の声で気付きそうなものだけど、それすら気付けないほどに狂気に染まっているなら。最後に手を伸ばして顔を触ってたから、そこでようやく笑人だとわかったのか。ところで竹村さんずっと死んでるけど、12月の自分メイン回は生きててくれますかね?来月も大熊さんいるから大丈夫かな。

 

坂口さん、わたしの知っているビジュアルそのままだから、最初に出てきて剣を振った瞬間びっくりしたし怖かった。でもどこかコミカルで、盲人とフミのやり取りを見つめる顔が優しいのなんの…おとうさん…親子なのすぐわかったよ…。迫力ある身のこなしとご本人の優しい顔が苦痛に歪むそのギャップ、とても好き。

吉田さん雰囲気抜群すぎる。あの姿勢も歩き方も殺陣も大変そうだよ…どこに骨入ってるんだ関節どうなってんだ!?って動き。西分さんもおっしゃってたけどヌルヌル動く。普段フラフラしていて、殺陣に入るとヌルヌル動いて、人を斬る時は鋭い。緩急自在ですごいな…。

盲目の剣士・タップダンスとくると座頭市のラストシーンを思い出すんですけども、フミの今中さんのタップはああいった激しいものではなく、手拍子のようで笑い声のようで、会話だった。軽やかで可愛い音。それなのにあんなに誰にも届かない悲しい地団駄ってないよ…。後半ずっと悲しい顔をして叫んでいたので、エピローグ幸せそうでよかった。タップちょっとだけやらせてもらったことあるんだけどめっちゃむずいよね。

エピローグもだけど、カテコの最後で幸せそうに並んで歩く親子と、それに手を振る盲人があまりに幸せすぎて一番泣いた。

 


今回ノンバーバルなのに更に制約(見えない・喋れない)が加わってたのでいつも以上にごちゃごちゃ考えながら見てたし、終わった後の考察も捗るタイプ。好き。

次回は発表された時から楽しみにしてた赤星さん、満を持しての登場大熊さんにゲストもいっぱい。毎月同じことしか言えてないけど、楽しみだなーー!

 

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