ぼちぼち観察記録

見た舞台の感想やオススメや自分語り。関西小劇場と推しさんとミュージカル。

劇団壱劇屋 『五彩の神楽 憫笑姫~Binshouki~』

8月は頭から大きな舞台が続いたのと、家族百景に行けなかった(かなしい)ので久々の小劇場でした。26日15時回を観劇。

壱劇屋さんを見るきっかけはこっちの頭らへんに書いてるんですが

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わたしは基本的に殺陣芝居が大好きです。ミュージカルに興味持つまでは、殺陣のある舞台にしかいかなかったくらい。元々時代劇が好きなので。

ノンバーバルでわかるか?と思って見た『猩獣』は配信がガタガタ(※うちのPCのせい)で全く話がわからず、実際に見に行ってみた『独鬼』は結構すんなり入ってきたので、竹村さんの作風がわたしに合うんだろうなぁと思って楽しみにしていた五ヶ月連続公演。

出演者が発表されてみたら8月に末満さん・12月にPatchの田中亨くんが出るし他の月にも見たかった人が沢山で、やったー!とガッツポーズしたらほぼ同時にPatchの有馬純くんの退団も発表されていて、振り上げた拳をそのまま膝に叩きつけることになった。しかもその日、花髑髏のライビュ(=推し舞台)だったし。脳内が忙しすぎた…もうあんなアップダウン激しい発表は体験したくないな…。

 

長めの感想にすると5ヶ月もたない気がするのでさくっと行きます。

 

憫笑姫~Binshouki~

これは“姉”の物語

パンをもらえば妹に
服をもらえば妹に

わたしの全てを妹に

姉は妹の為に城へと上がる
そこに待ち受けるのは欲に塗れた愚者の陰謀

 

これは“姉妹”の物語
姉は妹を守る為
戰旗を掲げ戰場に立つ

 

劇団壱劇屋 番外公演「五彩の神楽」特設サイト 

 

戦う女子サイコーだな!!

今までの三作のうち今回が一番ストーリーわかりやすかったかな。台本買ったけど見ながら考えてたこと概ねあってた。回想シーンとの切り替えも、姉のちょっと(かなり?)重い妹への愛もわかりやすい。軍勢の違いを表してたであろう旗は、絡まったり照明で色が変わったりしてちょっとわからんかった。緑?
最終的に王が倒れ、姉が王となったのはいいけどもそれっていくらでも変わりがいるというか、歴史が繰り返すことになりかねないので完全にハッピーエンドには思えなかったり。綺麗に終わった分、ちょっと穿った見方をしたくなる。

 

姉と妹の関係性がどうも不健全で、これはそのうち最悪のパターン(姉が人を殺めるところをタイミング悪く妹が見てしまい、すれ違ってしまって最終的にそれが原因でどっちかが死ぬ感じの)(考え過ぎやろ)で崩れてしまうのでは…と心配になってた。
でも妹がとても聡い子で、姉の誤魔化しも甘いところがあったおかげでお互い歩み寄って一緒に戦うことになったのはとても良かった。背中合わせめっちゃアツい。

 

姉役、壱劇屋のりついっとマシーン西分さん。ぶんちゃんさん。まだそんなに色んな役を見ていないのだけど、個人的に困った顔が素敵なのでちょっと窮地に陥ってほしくなる。いや悪い意味でなくて、そこから這い上がる姿が素敵というかなんというか。男の振る旗の後ろから現れるのかっこよすぎて震えた。

妹役、NMBりなっちこと久代梨奈さん。初見です。腰位置の高さや膝上スカートの翻りっぷり、立ち姿、顔の角度と髪の毛の使い方等、アイドルとして自分の見せ方を熟知していて見ていて気持ち良かった。後半どんどん鋭くなっていく目が印象的。
アイドルだから~という視点の可否は置いといて、かなり好きです。

 

そんな姉妹や侍女たちの意志をちゃんとくんで、めんどくさがりながらも鍛えてくれる男(竹村さん)の関係性が最高だった…。逃げてしまった侍女たちを容赦なく殴るとこ好き。竹村さん最初は出ないはずだったとか聞いたけど、もう男は竹村さん以外考えられない…ハマってた…。

久々に役者として舞台に立たれていた末満さん。出てきた瞬間に圧倒されて、そんなに身長高かったっけ…!?って思ったけど数字上はそうでもなかったのでオーラか?
役どころとしては王の器ちっちゃ!!って感じだったけど目力にやられた。また拝見したい。でもマチソワ間は休んでください。

個人的にビジュアルが最高でしたで賞、侍女役の真壁愛さん。リーゼントにパンツスタイルなのかっこいい…最高…ありがとうございます…。去年から何かと拝見しているので顔も名前も覚えました。侍女みんなタイプが違うけど、どうやって連れてこられたかが気になったなー。適当だったら怒るぞ王。

 

そうそう、やっぱ衣装がいい舞台は見てて目が楽しい。姉はほとんど舞台からはけないから舞台上で衣装変わっていったけど、最後に鎧がついたのテンション上がった。ああいう普段着っぽい衣装にゴテっとした鎧の組み合わせはとても良い。
姉と妹で明らかにシルエットが違ったし、侍女も三者三様。王だけがやたら白い。誰が誰かがぱっとわかるのは大切…。

あと、カテコの和やかさが印象的。西分さんをちらちら見守る末満さんとか。
昔共演させてもらってその縁で…とか、これからもこうやって小劇場界隈が盛り上がれば、とか。壱劇屋さんのそういう演劇へのスタンスがとても好きなので、ささやかですが応援しています。

 

次は中村るみさん主演。ギアにまだ行ったことがないので、舞台上で見るのは「オンタマジャクシ」以来ですかね。
エンタメ色強めで、今回とは全然違うものになるらしい。楽しみ。

 

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ピースピット『グランギニョル』

感想はもっとちゃんと考察をまとめてから、もっとレポ絵を描いてから、ってそんなん一生終わるわけあるかーい!
って思い立ったのでグランギニョル感想です!多分めっちゃ薄っぺらい直脳なことしか言えません。役者さんの話ばっかで演出とか音楽の話が全くできてない…。輪廻夜想やっぱり大好き。

全シリーズのネタバレ、パンフ等の小説、末満さんのニコ生の一部を含んだ感想ですので、どれか未見の方はご注意下さい。

 

マイ初日(8/3)を見て思わずガッツポーズしながら書いたのがこちら。

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勝訴のくだりは流石にアホ過ぎたなって思ってます。
SPECTER、まだ見てない人は是非見てグランギニョルと比較してみてね!これ書いた後に見直したら、もっと演出重ねてるとこあって転がってた。

 

東京は2階席上手、大阪は最前下手、5列目上手、20列ドセンといういい感じにバラけた席で見れました。ドセンから見るキャスパレはとても美しかった…。

あらすじとかシリーズ概要を引用しようとしたらめっちゃ長かったのでやめときますね!もしTRUMPシリーズを知らずにこの記事読んでる稀有な方がいらっしゃったらこちらをご参照下さい!

grandguignol.westage.jp

 

例によってキャラごとのざっくり感想。

ダリ・デリコ(染谷俊之

そめさま。刀ステ初演ライビュを除くと初見。彼を推してる知人が何人かいて顔は写真等でよく見てたけど声のイメージがなかったので、ダリの第一声で「おおかっこいいな…」って思いました。
キャスパレ後のチェスシーンでの説明長台詞、他にも専門用語満載の台詞が多かったけどとても耳障りの良い声で聞きやすく、すんなり入ってきたのはとてもありがたかった。そして殺陣うまいなー!開幕一番の教団相手の殺陣が素晴らしくて、一気に心を掴まれた。
そんなわけで全体的に「かっこいい」から入ったけども、ヨハネス卿やゲルハルトと騒いでるところはお茶目で可愛いし、拉致られたり担がれたり繭期でハイになってたりと可愛い要素がどんどん積み重なってきた。TRUMP時のダリちゃんのことそこまで気にしてなかったんですけど好きになっちゃうじゃないですかこんなの。

フリーダ様のこと愛してたんだろうなぁってわかるし、下っ端下っ端言いつつマルコにも愛着持ってそうだっただし、ハンターコンビとも最終的に仲良かったし、思ってた以上に穏やかな人だった。全体的に言葉足らずだけど。TRUMP時の厳格な性格はフリーダ様の残した言葉の影響なのか…?ってこの辺の考察はしてる人いっぱいいるしCOCOONで色々明かされてしまうかもしれないので投げます。ぽーい。

ラストシーンの表情も声色もとてもよくて、一度エピローグでおさまった涙がもっかい溢れる。ウルをそっと噛むSEがおそらくTRUMPでソフィが最後にウルを噛んだ時と同じ音で、それはつまりきちんとイニシアチブがきかなかったんじゃないかとも思えるのだけど、ウルがあの年齢まで生きて抜いたことを思うとそうでもないかな。クランに入るまでにどこかでウルが攫われて、ダミアンコピーとして教育されてしまう可能性だってあったのだから、ダリはちゃんとウルを守ってたんだなって…。ラファエロに対して言っていたのは「ウル(のダンピールだという秘密)を守れ」だと思っていたけど、もっとそのままの意味だった。TRUMP見返そう…。

ゲルハルトの貴族貴族した感じとはまた違う(というかラスボス感ある)コートさばき素晴らしかった。マルコが出て来る直前の、上手側に座る時にバサァッて一周きれいに回すの毎回決まってて最高。

ゲルハルト・フラ(三浦涼介

りょんくんオーズファイナル大阪公演に出演されてなかったので、生で見たの初めてだったんですよ!オーズもう7年くらい前のはずなのに、益々美しさに磨きがかかっていた…。
最前下手の時、ダリにそっぽ向いてるゲルハルトが目の前にいてうわー美しい…って圧倒されたり、マルコに踏まれてるのも目の前でうわー眼福…ってそういうことばかり気になってたんだけど、殺陣はフェンシングスタイルで思ったよりも激しく、まるでドレスのようなコートから覗く足は勿論スラックス履いてるし革靴のサイズも大きくて、うわ男性だ…!!ってそのギャップにやられた。レースの手袋と袖のフリルでごまかされているけど手も大きい。声も低い。ちょっと女々しいところはあったけど、その行動力とダリのピンチに颯爽と現れるヒーローっぷりに、「かっこいい…!!」ってなった。ダリと逆パターンですね。奥さん失って闇落ちしてしまうのかと思ったら強かった。

あと今作の「トゥルー…オブ…ヴァンプ!」担当。めっちゃ力強い。星に手を伸ばすポーズもしてた。あまりに美しさが限界突破してて、オペラで見たら目が潰れるかと思った。
そして守護者担当でもありますね…どんだけ重要な役を担ってるんだ…いくらなんでも守れなかったのが早すぎて、乾いた笑いが漏れちゃったわ…。あちこちで言われているけど、「マリアとフラ家を守る」でアンジェリコがカウント外なのはわざとだったのか無意識だったのか…無意識であってほしいようなそれもそれで悲しいような。

グランギニョルを終わらせたのは彼の一刀だったけど、あのあと後ろでずっとうずくまっているんですよね。顔も伏せてて表情がわからない。どの回だったかで暗転直前に顔上げたような気がしたけど。ダリとフリーダやりとりを見ていないんだよな…見れないか…。でもこの事件がきっかけでダリと決裂したわけでないのはすごい。ふたりとも大人だな…。

りょんくん、ミュージカルで見たいなって思ってたので1789前向きに検討しよ。ロベスピエール

マルコ・ヴァニタス(栗山航)

名字がヴァニタスなのを本編で初めて聞いて、えっなにそれ絶対ワケアリやんって思ったら案の定だった。そもそも栗山さんをキャスティングしてる時点で只者のわけなかったよ黄金騎士!!闇を照らす者は7話がトラウマ過ぎてそこから見れてません。見たい。再演の真田十勇士を見れていないので、生では初見です。

というかTRUMPシリーズにおいて、舞台袖から「うわーー!!」って感じで飛び込んできて「イタタ…」って言うてるやつに怪しくないやつなんかいない!ので、初登場時はともかく黒薔薇館で飛び込んできた時に黒幕確信しました。末満さんわざとだろ。最初の足ひっかかってるの目の前で見れたんですけど、マジでひっかけてあってちょっと感動した。あのコケ方すごい。

殺陣のすごさは勿論、声色や表情の使い分けがよかったなぁ。一瞬だけ出てくる「ウル」、とても優しい声だった。その分見た目を没個性にしてる感じ?かな。大勢の殺陣の時たまに見失ってた。

デリコ家に作戦本部置かれたのが誤算とは言うけども、「本部はうちの下宿で…まぁ狭いからキュってなっちゃいますけど♥」って天丼しててその言い方で本当に本部移動させてくれると思ってたのか!?プレゼン頑張って!?
ヨハネス卿にイニシアチブ抵抗されてて、一瞬「ダンピールなのか…?」って思ったけどそんなことはなかったからあのパワープレイオヤジがすごいんですかね。

あぁ~ウルの父親だわこの人…って思ったところがあった(※忘れた)んだけど、アンジェリコ父親っぽい要素はそんなにないかなぁ。まぁ会ってもないか。一瞬だったけど、ウルの意識がある状態で我が子を抱けたのは…よかったね…。

アンリ・ガトー(藤木修)

知らない方だと思ってたら舞台「クレシダ」(放送で見た)で碓井さんともう一人の少年を演ってた方だった。今回も少年なんだな~今年30歳!?!?!ってめちゃくちゃびっくりした。メイクが濃いから顔はわからないにしても(とはいえ童顔だなぁと思う)、全身から発する少年オーラすごい。確かに背も高くないし対峙する春林がでかい(30cm差ってすさまじいな…)し衣装もダボッとしているけど…すごい…(語彙力がない)

あと声ですよ声。ボソボソとつぶやいているのにとても聞き取りやすい。ずっと声が小さかったから、その分ラストバトルでの慟哭がグサグサ刺さってきてつらかった…!
キキとオズとはなんだかんだ仲良しっぽくて可愛かった(言われてちゃんと正座してるの笑った)んだけど、バルラハの執着にもそこまで嫌そうな素振りがなかったのが謎。あれだけ死にたいと言っていたのに、死なせないと迫るバルラハを拒否らないんだな。それもイニシアチブによるものなのかな…。

オズ・ローナン(大久保祥太郎)

役が発表された時から何故かオズ君って呼んじゃうんですけど何ででしょう。大久保祥ちゃん、実は初見。ってか初見ばっかだな今回。11年ぶりの梅芸ってツイで言ってて、それつまり子役時代のレミゼ以来なのかなぁ。帝劇に立つ祥ちゃんが見たい。

SPECTERのサトクリフの弟だと事前に言われていたので、繭期の症状が予知だと聞いた時にグっと息を飲んだ。能力のタイプが似てる似てる。特に本編では兄弟がいることを示唆されなかったけど、これは今後どこかで爆弾落とされそうだな…。

ずっと自信なさそうに震えて泣いてたからこそ、最期がとてもかっこよかった。毎回泣かされた。僕はダメなんだ、ってのは自分の死ぬ未来が見えたのか、何も見えないからもう未来がないと気付いたのか。後者だとハリエットの死に様が見えなかったサトクリフを思い出すな。

黒薔薇館バトルの最後、マルコに向かってお辞儀してから去ってったのに気付いたんだけど、あれつまりそういうことだったんだな?細かい。動きの端々から祥ちゃんの器用さが伝わってきた。モノマネうますぎ。

キキ・ワトソン(田村芽実

予想の数倍テンションの高いキャラでびっくりした!みんなを愛するキキとみんな大嫌いなマリーゴールド、しゃべり方とかも完全に対極なんだなぁ。めいめいも初見です!初めてLILIUMを見た時に歌声に圧倒されて、カラオケで友人と「すごいね……」しか言えなかった記憶がある。めいめいが赤い帽子を被って帝劇のバリケードに立つ日を待っている。

ふわふわした真っ白な可愛い衣装だけど足元コンバースなのが一周回って可愛い。繭期三人共そうだけど、ラバー部分のライン消したりしないんだな…めちゃくちゃハイカットのコンバース…。

目の前のものがなんでも愛しいキキ、アンリもオズも、敵であるダリでさえも…ってそういえばバルラハとダミアンのことはどうだったんだろう…描写なかっただけで撫で回してたりするのかな。ダミアンめちゃくちゃ嫌がりそう。

子孫がマリーゴールドに繋がるのは正直全LILIUMファンが覚悟していたとは思うけど、やっぱり泣いたよね…!そこからのもう泣かないと決めたのピアノアレンジも最高すぎた…末満さんのめいめいへの信頼も見える。あれは彼女のための曲。

逃げる方向的にグレコに出会うかもしれないらしいですけど、繭期が抜ける前ならグレコのあの優柔不断なとこも愛してくれるだろうからグレコそのへんでコケて死ぬなよ!?

バルラハ・ベル(窪寺昭

人間なのをすぐ忘れるので、マルコにみんなが跪くシーンにいたっけ?ってよく見たら、跪かずに下手の袖から平然と出てきた。人間だったわ。

アンリへの極端な執着の理由がわからなくて、あのくらいの歳の子どもを亡くした親なのかなって思ってたんだけどやっぱりそのへん脚本で削られたそうで。惜しい。どうやら連載小説に出てくる組織ペンデュラムに所属しているそうなので、今後そっちで語られるかもしれないな。繭期の少年少女の脱走を唆して拉致して実験しているのかと思ったけど、SPECTERの繭期四人は普通に逃げてるしその辺も謎。

TRUMPそのものではなく不死に興味があるあたり、クラナッハと似ているようで似ていない。研究内容は素晴らしいと思いますよやり方がえげつないだけで。あんな危ない実験してるし、どっかからハンターの打ってる血清手に入れてそうだな…。

ダミアン・ストーン(日南田顕久)

バルラハと同じくあまりにバックボーンが語られなくて、今回の復讐のために急遽作られた使い捨てのダミアンコピーじゃないかって感想見かけてハッとしていたのだけど、ひなくんのブログで色々語られていた。元血盟警察官…それなのに警察官相手にあんなことしてたんだな…としんみりしたのにTRUMP界のユザワヤで噴いた。

派手な衣装やメイクがあまりにもピエロで(あの髪色は歌麿の追うダミアンじゃないよっていう示唆の為でもあっただろうけど)、バルラハの実験にゾッとすると言ったところで「あっこの人実はいい人だ」って思ってたので元警察官なのめっちゃわかる。

ヒャッハーしてる時の声がすごく好き。あと殺陣やアクションに関してはさすがの一言。あれだけごちゃついた衣装で仮面もしてるのにそれを感じさせない身軽さがよかったです。ゲームの中ボス感。

歌麿(松浦司)・李春林(東啓介

これだけ別記事作ろうかと散々迷ったけど逆にまとめました。
一個前の記事でも言ってるけどわたしシリーズの中だとSPECTERが一番好きで、ハンター組がめちゃくちゃ好きなんですよ…。なので、グランギニョルやるよ!デリコ家の話だよ!って言われた時に真っ先に「歌麿出ます!?!?」って大騒ぎしていた。あの萬里に「石舟よりマシ」と言わしめた歌麿は一体どんなやつなんだって考えまくったし、できればにSPECTER出てないPatch四期の誰かがいいな~って勝手に思っていたらワタナベなのは合ってた。NU版もR萬里の大塚さんがワタナベだし、D2版は言わずもがなだし、ハンターのナベ率がすごい。松浦さんもとんちゃん(刀ステ初演ライビュは見た)も初見なんだけど、とんちゃんはPatchの納谷くんとペアのブロマイドが出てたために見てないのにうちにブロマイドがちょっとだけある。

結果的にどちらのキャラも予想と違っててあっそういう方向性!?と驚きつつも、一定のオタクがめちゃくちゃ好きなやつでダメですねあれ。わたしは初見が東京の二階席だったのでまだマシだったんですけど、大阪で前方列で一緒に見た友人が終演後に完全に語彙力を失いながらブロマイド買ってて笑いました。ツイ上でも大人気な印象だけど、行き過ぎた発言は鍵ついてるとこでやりましょうね?

歌麿のツンツン頭の少年漫画キャラ感すごく好きだし、わたしはそもそも侍が大好きなんですよ…TRUMPシリーズで日本刀殺陣が見れるとは思ってなかったありがとう…。
そして春林のズルさったらないですね。衣装といい髪型といい性格といいズルいわー。腰の位置が高すぎてスーの田中さんの肩くらいまであるの目の錯覚かと思う。

例の主従逆転イニシアチブ(語感が椎名林檎)とかそれぞれのバックボーンとかSPECTERハンターズとの関わりとか、あまりに燃料(この言い方が完全にオタク)が多すぎて全く消化できないので、やっぱ感想とは別に考察を混ぜた雑感でも書こうと思います。大楽日替わりの「私はできる子ダンピール!」が地味に刺さり続けててちょっとつらい。あと石舟のその後がつらいと同時に最高。

スー・オールセン(田中真琴)

一挙一動一投足可愛くて震えてた。声も可愛い…なにこの子すごい…末満さん原石見つけるのうますぎない…?
黒髪ショートカットで影のある表情や大きなリボンがまるでNU版のソフィのようであり、ケープがリリーやスノウのようでもあるけども彼女はウルの母。その辺の混ざり具合が好き。

もっとおどおどしているキャラかと思っていたらダリに対して強い強い。ハンスや歌麿に対しても強気。デリコ家に作戦本部があることによってウル(父)が猫被りまくってる(上に中身はほぼダミアン)様子を見続けていたけどもどういう心境だったんだろう…恋人が椅子にされてる姿はちょっと見たくないよな…笑

スー自身にはそこまで復讐心はなかったようだけど、スパイもちゃんとしてるしお腹の子の父親を隠し続けたのは全てはウルのため、でいいのかな…。もう復讐なんてやめようと、まだウルの意識があるうちに提案はできなかったのか。幸せになってほしかった…。

日替わり、チャラ男からのチャラホストめっちゃ笑いました。舞台二作目だそうなのにアドリブにも対応できるのすごいな…またどこかで拝見したい。両手を下に下ろす礼の仕方が可愛い。

フリーダ・デリコ(愛加あゆ)

オールメイルでない限りどんな舞台を観に行っても必ず一人は宝塚OGの方がおられるのですが、んまー立ち姿も所作も歌声も美しいこと…。
フリーダ様(絶対様を付けてしまう)スーとはまた違う「母」としての強さもあり、乙女でもあった。「幸せであろうと努力しているわ」って、そうそう言える言葉じゃない。お腹の子の父親を尋ねる時の声が震えていて少し涙ぐんでいるのに毎回もらい泣きしかけてた。でも父親がダリなら私の子でもあるって言えてしまうんだよなぁ…強い…ダリちゃんそんなフリーダ様の強さに甘えてるとこない?

状況的には悲劇的だったけど、愛する夫を手にかけることなく夫に殺されるわけでもなく、きちんと腕の中で眠れたのは幸いだったかな…。状況と台詞がSPECTERのシャドを思い出してしまってたのであれに比べるとめちゃくちゃマシ…シャド…。
そういえばゲルハルトとの対面シーンは最期だけだったんですね。あの二人だとどういう会話するのかめっちゃ気になる。

歌姫もとても良かったですね。あの場面はシーン的にも拍手があるのは別におかしくないのだけど、ナンバーが終わった後にワッと拍手するのが宝塚の、というかミュージカルの文化でいいなぁって思った。子守唄のあとも拍手したかったしハンターが最後に去っていくのも拍手で送りたかった。

ジャック・ブレア(服部武雄

旧芸名服部翼さん、ももいろゴタイローの黄色い子。懐かしいな戦国鍋…(LIVEとかめっちゃ行った)っていうか武雄と書いてむお、本名だそうでびっくりだ。強そう。そういえばナルステ初演でも見てました。

末満作品におけるおかっぱ要員であり賑やかし。もうちょい落ち着いた髪色に出来ただろうにあえてあの蛍光オレンジなのはこだわりなのかな。ダミアンが敵側のピエロならジャックが味方側(?)のピエロ。いまいち行動原理が読めない子ではあったんですけど、基本的にはスクープが欲しいのか?でも記者は表の顔で実際は情報屋みたいなもんだしな…スーを引き渡して欲しいってのが特に謎なんだけどあれはどこか(血盟議会?)に頼まれてたの…?DVD出たらちゃんと確認したい。

めちゃくちゃ喋るしテンポもいいけど、声色がコロコロ変わるから恐ろしいような感じもする。これからもゲルハルトと仲良くしててほしい。

情報屋黒猫(菊池祐太)

情報屋という怪しい肩書、ピースピットにおける「猫」、そして何より初演ソフィウルキャストということで界隈がざわざわしまくってたんだけど、予想外のあっさりした死にびっくり。でも、フォロワさんの↓

 この説は有り得るなぁって。あくまで演出的な話だけど。菊池さんの終演後のブログとても良かったです。
猫耳帽子可愛かったしセットの上段から飛び降りるのあっさりやってたけどすごかった。「春林の旦那」って呼び方がツボ。歌麿と仲悪そうだったのは犬と猫だからか?って言われてて笑ったし納得してしまった。あの酒場行きたい…。

マルコの名前に反応してたのはどういう意味だったのだろう。ゲルハルトの部下時代の騒動を知っていたのか、一人を残して皆殺しにあったヴァニタス家の事件を思い出したのか。あの沈黙がなかったら怪しまれず殺されなかったのだろうか…無理かな…。

アンサンブルで色んな役をされていたけど、動きも声も特徴あるからすぐにわかる。警察の時の声を聞いてステーシーズ見直したくなった。

ハンス・ベケット(池村匡紀)

クロムの方なら去年見たぞーどれだーって翼クチのパンフ引っ張り出したけど全く思い出せなかった。常滑川さんの仲間の人…どれ…。

色んな日替わり自分でもするしぶつけられるしで、かなり柔軟でないと出来ない役だったなー器用な方だ。どんどんエスカレートしていくマルコへの舌打ちや、ジャックにちょっかいかけられるの毎回めっちゃ笑った。「ホァッ」って声が妙に癖になる。大楽のアドリブを無茶振りで返されてけちょんけちょんにされてて不憫だった笑

かなりあっさり(しかも歌麿に)殺されてたけどあの状況だとしょうがないか…ほんとにモブくらいには役に立つだろうレベルだった…。あとで改めてダリにしっかり弔われてほしい。ドアはきちんと確認して開けようね。

レイン・マクミラン(吉田邑樹)

ナイスな眼鏡をありがとう!!あっさりしたきれいな顔立ちとバレエ的なダンス(殺陣もめっちゃクルクル回っていた)が印象的だったので、黒薔薇館のダンサー時も繭期の少年時もずっと目で追ってしまった。少年の時、胸元やインナーに黒が混ざっていたのでうわ絶対ダンピールだ!って思ったし、腰についてるソフトチュールがふわふわしていて可愛かった。目の前で見た時に膝下にいっぱいカシメついてるのに気付いたり、何だかめっちゃ衣装を見てたな…。

ヨハネス卿のイカサマ手伝うし、ダーリちゃんって普通のトーンで呼ぶし、真面目眼鏡と見せかけて融通のきく眼鏡だった。血盟議会の中で眼鏡が本体とか言われてそう。

スー達を助けに来たのがヒーローショー過ぎてめっちゃテンション上がったんだけど、後半繭期の少年になってるせいで全然出てこないんですよねレイン中級議員…。殺されてないかヒヤっとしたけど生きてた。ヨハネス卿に指示されて全然違う仕事してたってことにしておこう…。

 ヨハネス・ヴラド(陰山泰

漢字を確認しようとパンフ見て気付いたんですけど、一昨年の推し舞台に出てはった…!案外初見ばかりではなかったんだな。

ビジュアルから感じた厳格そう怖そうっていうイメージが開幕すぐに打ち砕かれたのには笑った。お茶目だ…妊婦さんの扱いには詳しくない貴族…。
イニシアチブに対抗してたのはさすがヴラドの血を引く者だなって思ったんだけど、パワープレイオヤジとか言われてたからただ力でゴリ押ししただけかもしれない…グランギニョル全体的に力でねじ伏せる人多くない…?

部下(しかも潜入した原初信仰者)にイニシアチブ取られるって大失態にもほどがあると思うんだけど、議会を辞めたり死ななかったことが意外だった。でも最後にあの二人をヴラド機関に任命できるのはこの人だけだな…。この段階ではお父さんが長官らしいんだけど何歳なんだヨハネス父!

アンサンブル(後藤菊之介・早川一矢・若倉颯大・佐々木梨乃)

はっきりした役名がないのでまとめてですいません。後藤さんはレインの吉田さんとだいたい一緒に重要な役をされてたのだけど、思い返すとめっちゃ噛まれてるな後藤さん…笑 イニシアチブの重複で強くなる繭期の少年の身のこなしめちゃくちゃすごかった。

佐々木さんはマリアも勿論だけど、開幕一番に走り込んでくる繭期の少年が可愛い。ズボンだったし少年でいいんよね?繭期少年少女失踪事件というわりに少女がキキしかいない。早川さん若倉さん(すいませんどっちがどっちかの見分けはつかなかった!)と三人ワタナベの専門生ということで、今後の活躍を期待しています!

 

これで全員ですかね。確認したはずだけどお名前間違いとかあったら教えてください。
ハンター組関連やイニシアチブ、ダンピールについてのあれこれ考察をしたいので、思いついた時に雑感を投げたい。

東京に遠征した甲斐もあったし、大楽も見れて思う存分繭期に浸れました。12月にDVD出るの早いね?
最終的には末満さんのスケジュール次第だろうけど、COCOONも近いうちに見れそうな予感がするので楽しみです。あとペンデュラムの続きを!ください!!!

 

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わたしの繭期の症状は電車を乗り過ごすことなんだけど、今回大阪公演で友人らとはしゃぎすぎて終電をのがしてから気付くというアホなことをしました。時計が全く読めなくなっていた(※シラフ)ので繭期こわい…。(友人の家に泊まりましたその節はありがとう)

という話を次の日にしたら、繭期の民みんな大なり小なり忘れ物や落とし物をしまくっていたのでだいぶ笑った。みんな、交通事故とかには気をつけよう。

 

歪んだ家族の物語 ミュージカル『にんじん』

9/12追記:大楽後に追記するとか言ってもう一個別記事書きました。

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観劇遠征3つ目。地味に本命だった、ミュージカル『にんじん』。

ここ数年めちゃくちゃ応援している「劇団Patch」の劇団員で、個人的に推しメンである中山義紘さんが出演されています。

 

natalie.mu

38年ぶりの再演で、大竹しのぶさんが当時と同じように14歳の少年を演じると話題のこの作品。
キャストのクレジットがこんな感じ。

大竹しのぶ
中山優馬
秋元才加
中山義紘 ←ここ
真琴つばさ
今井清隆
宇梶剛士
キムラ緑子 (敬称略)

このそうそうたるメンバーのこの位置に推しの名前があるとか、見に行くしかないじゃないですか…せっかくの東京での舞台、東京で見たいじゃないですか…!新橋演舞場は行ってみたい劇場でもあったので、他の鳥髑髏とグランギニョルの時期を合わせて遠征しました。なので、推し舞台での遠征カウントです。

 

中山義紘さん、通称よしくん。折角なのでよしくんの話をちょっとします。
ここの下の方でも書いてるんだけど

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現メンバー最年長(27歳)で、高校大学とずっと演劇をやってきた演劇馬鹿。なんだけど、三作品も朝ドラに出たり(ごちそうさんの諸岡くんは覚えてる人も多いと思う)、その縁かBK制作のNHK番組にちょこちょこ呼ばれていたり(ヒストリアやバリバラ等)、あとはおは土でレポーターやってたり。関西人は一度テレビで顔見てると思う。

外部での舞台出演はあまりないし、Patchの中ではどちらかというと映像班っぽくて、それがずっともったいないなぁって思っていた。
本公演だと贔屓目なしにやっぱり飛び抜けていると感じるし(その分年長者だったり黒幕だったりする役が多いけど)、映像作品でもいいけどやっぱり舞台に立つよしくんをもっとみんなに見てもらいたい、色んな俳優さんの中にいるよしくんを見たい。そう願っていたので、にんじんへの出演はめちゃくちゃ嬉しかった。オファーらしいってのも嬉しい。

余談だけど、今年の春までPatchの総合演出家をやってらした末満健一さんが、このことをとても喜んでいたのが微笑ましい…本当にぱっちのお父さんだ末満さん…。

余談ついでに、中山優馬さんと秋元才加さんがそれぞれ耕史さんと共演経験のある弟分、妹分的存在であることから、発表を見て「これはもう推し推しとの間接共演では!?!?」とか騒いで友人を困惑させてた。すいません。推し推しの共演、夢だけどじわじわ近付いてる気がする。見たい。

 

インタビュー動画とかコメントとか、作品自体が色んなメディアに取り上げられるとうきうきしていたのだけど、そのコメントを見ているうちにふと気付く。

「これ、微笑ましくハッピーな子ども向けミュージカルではないな?」

今回は予習はいいやと思っていたのだけど、青空文庫で読めたので気になって数行読んでみて「えっなにこれこわい」とやめてしまった。ちょうど夜の話から始まるのだけど、底知れぬ闇が広がっていた。

 

そういうウキウキとそわそわを抱えて見に行きました。
このブログ、毎回前置きが長い。

 

ミュージカル『にんじん』8/4昼

 

-Story-

「まっ赤な髪で そばかすだらけ そうさぼくは みにくいにんじん!」

 ここは、フランスの片田舎の小さな村。まっ青な空、濃い緑の森、そして澄み切った小川の流れるこの村では、今日も村人たちが楽しそうに歌っています。でもその中にたった一人、仲間はずれの男の子がいました。それが、にんじん(大竹しのぶ)。
 にんじんのような真っ赤な髪、そばかすだらけの顔、だから父親のルピック氏(宇梶剛士)や母親のルピック夫人(キムラ緑子)までが、“にんじん”と呼ぶのです。にんじんだって、フランソワと言う名前があるのに…………。
 にんじんには、婚約者マルソー(中山義紘)との結婚式を控えて夢中の姉エルネスティーヌ(秋元才加)、甘やかされてわがままに育った兄フェリックス(中山優馬)がいますが、二人ともにんじんには無関心です。それぞれが勝手気ままの家庭に、新しくルピック家に女中としてやってきたアネット(真琴つばさ)もあきれる始末。
 誰にも愛してもらえないにんじん。みんなにどうでもいいと思われているにんじん。だから、どうしてもひねくれてしまうにんじん…………。そんなにんじんの数少ない友達の名づけ親(今井清隆)は、にんじんを優しくなぐさめます。
ある夜、ルピック夫人の銀貨が一枚なくなるという事件がおこります。夫人はにんじんを泥棒ときめつけ、はげしく責め立てるのですが―――。

 

公演情報 日程・上映時間:新橋演舞場-歌舞伎・演劇|松竹株式会社

 

 大竹しのぶさんの少年役、めっっっっっちゃ上手い。
キムラ緑子さんの意地悪な母親役、めっっっっちゃ上手い。
というかみなさん上手い。

総じてめっちゃしんどい!!!

 が、率直な感想です。

にんじんがいじめられてるのって、兄姉や同年代の子ども相手にだと思っていた。いじめられて泣きながら帰ってくるけど、両親は忙しくて味方になってくれないとかそういうの。「にんじん」というあだ名もそんなに重いものだと思ってなかった。率先してにんじんをいじめているのが、実の母親だなんて思ってなかった…つらい…。原作小説も、こどもがネグレクトを受ける様子があまりに淡々と書かれていて怖い。

女中のアネットが味方になってくれるわけではない(少し手助けをしてくれるけど)、名付け親のおじさんは優しいけども、にんじんを絶対に守ってくれる(そういうシーンもあるんだけど)わけではない…この作品には「聖人」がいない…そういうとこリアルでやるせない。

 このブログ、NHKラジオのミュージカル三昧を聞きながら書いてたんだけど、大竹しのぶさんのインタビューと「世界でいちばんさみしい子」が流れた。他の曲って少年声で投げやりな感じで歌うんですけど、この曲は大人っぽく切なく歌うので泣けるんだよな…。

「神様」に気付いてほしいと願う曲なんだけど、わたし最近まであまり海外作品に触れてこなかったので「神様」の立ち位置がよくわからないんですよ。クリスチャンではないし。
ちょっと話それるけど最近レミゼを全部読みまして、バリケードあたりでそうか海外作品ってどれだけ追い詰められても腹切ったりしないんだな、大将の首持って逃げたりしないんだな、自害はしないんだなと軽くカルチャーショックを受けたりして。メンフィスを見た時も、どれだけ人種差別がどうこういって揉めてもその町に教会はあって、みんな神に祈るんだなーそれはよくわからないなぁって思った。
にんじんの語りかける「神様」は本当に神なのか。両親のことかもしれない。

 

メインどころだけキャラごと感想。敬称略。

にんじん(フランソワ)◆大竹しのぶ

うっっまいのよ…舞台の、女性がやっても男役なら男になり、大人がやっても子どもになり、そこに翼がなくても見える、みたいなところが好きなんだけどまさにそれで、勿論近くで見たら60歳の女性だけども、舞台にいたのは14歳の少年だった。一切茶番っぽくならず、あるがままの少年。ちょっと落ち着きがなくて、気を引きたくて悪戯をする。無視されるよりは怒られる方がいいのかなって思っちゃう。

にんじんは母親のことを「ルピックの奥さん」と呼ぶし、父親のことを「ルピックさん」と呼ぶ。あまりに他人行儀で悲しい。アネットに自分のことを「にんじん」と呼ぶことを強要させるし、いじめられて泣いてる可哀想な子というよりは、捻くれて、諦めてる。周りから悪い子だ、って言われ続けて歪んでいる。それを本人も自覚しているところがしんどい…。

彼は「にんじん」という人格を別に作っているのか。あくまでいじめられているのは「フランソワ」ではなく「にんじん」で、いじめるのは「母さん」じゃなくて「ルピックの奥さん」、助けてくれないのは「父さん」じゃなくて「ルピックさん」だと言い聞かせているのかな。悲しい。

自殺を考える子どもなんてつらすぎるのだけど、「自分がいなければこの家は幸せかもしれない」というところから考え始めるのもほんっとつらい…。
結婚式場の大きな十字架にゾッとしたし、布に映る輪になった縄の影と、それに近づく子どもの影とかもうホラーでしかなかった。

ラストシーンは神々しかった。少しだけ成長したにんじん。兄は出ていき姉は嫁ぎ、家族の形も変わってしまったけど、今後どうなるんだろう。映画や他の戯曲では両親どちらかと和解するものもあるらしいけど、今回はどちらとも取れなかった。子どもの自立というには、まだ数年かかると思う。

次に学校の寄宿舎から帰ってきた時、彼は家族になんと呼ばれるのだろう。

 

フェリックス◆中山優馬

顔がとてもきれい。最近は舞台で活躍されているというのは聞いていたし、去年?だったかな、ドリアン・グレイの肖像を演るというので気になっていた。以前耕史さんも演った作品。雑誌のインタビューで優馬くんが耕史さんに相談したと聞いて、今でも連絡取るんだなーと微笑ましくなった。

フェリックス、性格悪いなーとは確かに思うんだけど、たった一言「あの人(母さん)はお前(にんじん)しか見てない」って言った時にイメージがひっくり返った。彼は、母親に叱られたかったんだな…。叱られたくて、気を引きたくて、悪いことをしても全部受容されてしまう。それどころか必要以上に愛されて持ち上げられて、それが面倒になっている。結局フェリックスも歪んでいる。この兄弟、足して割ればちょうどいいのに…。

そんな家に辟易して出て行きたいと願い、実際にそれが成功したのにちょっと笑ってしまった。家の金取るのはあかんけど。パリで生活できるのかな~甘やかされて育ってしまったことは事実だし、一人暮らしできなさそう。人のもの取るのが癖になってなきゃいいけども。ってなんでこんな心配してしまうんだろう…。

 

エルネスティーヌ◆秋元才加

名前覚えづらい!あと言いづらそうなのでマルソーが一回くらい噛まないか勝手にハラハラしてた。才加ちゃん、ロックオペラモーツァルトでのコンスタンツェ(見れてないのでCDで聞いただけですが)が良かったのでミュージカルで見たいなーと思ってたら、よしくんの相手役とかおいしすぎてその情報だけで数日間死んでた。

愛のない家に辟易して、外からの愛を求めた人。マルソーを尻に敷いてる感がとても良い。村で一番の金持ちだから彼と結婚するのと言っていたけど、どこまで本心なのかな。自分を一番に愛してくれる人だし、ドレスにうきうきしていたし、結婚式で盛大に喧嘩してたけど夫婦生活うまく行ってほしいな…作中でもそういう示唆があったけども、ここのカップルまで破局したらやるせなさ過ぎるわ。

エルネスティーヌのにんじんに対するスタンスがちょっと謎だった。単に出来の悪い弟、くらいだったのか。でも実際仲の良くない姉弟ってこんな感じかもなぁ。

 

マルソー◆中山義紘

思ったよりアホで可愛かった。あの地獄のような食卓に、(まだ結婚してないから)家族でもないのに平然と同席できるのすごいな…?空気が読めないのか、単にエルネスティーヌしか見えていないのか、我慢しているのかはわからないけど普通に尊敬してしまった。にんじんが実の家族からああいう扱いを受けているのを目の当たりにしているのに、普通ににんじん君と呼んで挨拶をする。話しかける。いい人なのか?偽善者なのか?にんじんと二人きりで話すシーンがあればもう少しわかったかもしれないけど。後に金持ちのボンボンだと明かされたので、ただのアホボンなだけかもな…。

毎回エルネスティーヌの椅子を引いてあげて、ニコニコしながらご飯食べて、エルネスティーヌに手をひかれて出ていく。これは結婚しても変わらないでほしい。ルピック家も元は名家だったっぽくて、お見合いだったのか恋愛結婚なのかはわからないけどもあの食卓に居られるなら相当エルネスティーヌのこと好きなんだなーと思っていたので、結婚式での暴言にめちゃくちゃびっくりした。案外器小さいな?

 

アネット◆真琴つばさ

寂しいにんじんの強い味方になっ…ってくれるわけではないんだな!女中だもんな!奥様に逆らっちゃダメだよな!フェリックスが夫人の部屋から出てきたことを証言してくれたのはありがたかった…。
ルピック家をおかしな家族だなとは思っていたけど、それを変えに来たわけではないから何もできない。傍観者ポジション。しょうがないけど、そのせいで若干印象が薄い…最終的にどうなったっけ?まだルピック家にいるのか?

ネズミの死体にも蛇にも動じないし、どうやら離婚を4回(だっけ?)しているらしいし、アネット本人も変わり者だということがよくわかる。ドレスを持って踊るところ可愛くもありかっこよくもあったんだけど、隣にいるエルネスティーヌもかっこいい系なので男役二人のようになっていた。

 

名付け親(アンリおじさん)◆今井清隆

なんかバルジャンみたいな見た目のおじいさん出てきたわ…孤児を育ててるわ…死ぬことは神のもとに召されることだとか言ってるわ…この時代(というには数十年ズレてるけど)のフランスのおじいさんってバルジャンみたいなのばっかなのか?って思いながらよく見たら今井清隆さんだった。バルジャンやないか。

という余談はさておき、聖人枠だと思ってたんですよ。にんじんの唯一の心の拠り所で、本当の名前を呼んでくれて、守ってくれる人。そうでもなかった…うっかりにんじんって呼んじゃうのダメだ…。
にんじんが辛い思いをしているのはわかっているけど、孤児じゃないから預かれないと言う。親がいるなら親元で育つべきだと。パンフにも少しあったけど、名付け親本人が孤児のパターンかも。

ダンディーで優しい歌声は安心したけど、やっぱり聖人じゃないし超人でもないんですよね。なんで結婚式ににんじん引き入れちゃったの!?あれでかなり自殺の引き金引いたよね!?酔っ払って気を良くしていたのかもしれないけど、あればっかりはちょっと!って思ってしまった。

アネットと同じで、あくまで傍観者。他人には、家族を変えられない。

 

ルピック氏◆宇梶剛士

稽古場にワンダーコア差し入れってズルすぎません?思い出すだけで笑ってしまう。

背も高いし貫禄のある見た目で、一幕はほとんど台詞がない。ただいるだけなのに怖い。奥さんと会話もしないし、何を考えているかが全くわからない。威厳のある父親…かと思ったら、二幕の狩猟の場面ではお茶目(犬に対して)だったりして、実はただ不器用な男だったとわかる。いや、頑張ってくれよお父さん!貴方の頑張りで家族が救われるよ!って思って心で応援してたけどそんな上手いこと話は進まなかった。

昔はそんな男じゃなかったのに、と言われてしまうのが切ない。ほとんどしゃべらないのは、自信がないから。仕事はした方がいいよな…自信がどんどこなくなっていくから…。その全ての原因は敗戦にあって、やっぱ戦争はダメだよねぇって思ったのだけどそういう話ではない?

にんじんが自殺を考えていたことを先に打ち明けられたのに、そのあと実際現場にかけつけて「ここまで思い詰めていたとは」って、いやいや言うてたやん!
自分のことしか考えてなかったと謝ってくれたのはよかったけども、遅いわ!ギリギリセーフだけど!

 

ルピック夫人◆キムラ緑子

ある程度予想はしてたけど、やっぱりめちゃくちゃ上手い。だからこそしんどい。ルピック夫人はただのヒステリー起こす意地悪なお母さんではない。にんじんが難産で、それと同時に敗戦のせいで家は傾き、身体も心も病んでしまった。家が傾いたのは…まぁルピック氏の不甲斐なさもあるとはいえ、難産も敗戦も自分たちのせいではないし、色々とタイミングが悪かった人なんだなぁ。ソロ曲で心情がバシバシ伝わってきて泣けた。

実の子どもにあの仕打ちは酷すぎるけど、あんなに歪む前に誰も止められなかったんだなぁと納得してしまう、周りの環境。時代。やるせねぇ…。

最後までにんじんとは向き合わず仕舞いだったし、フェリックスが出ていってしまったあとどうなったのだろう。持病が悪化しやしないかと心配してしまったけど、ルピックさんが終盤ちょっとしっかりしてたから側についていてくれるといいな。エルネスティーヌもしょっちゅう帰ってきて旦那の愚痴言ってそうな気がする。

桶に張った水に顔をつっこんで自殺をはかるにんじんを見つけ、飲み水に毒を入れようとしたと思い込んだルピック夫人が鬼の首をとったように怒り狂い、水をにんじんにぶちまけるところで一幕が終わる。
今思うとそういう発想に至ってしまうところでルピック夫人の病みっぷりがよくわかるのだけど、見た時はあまりの迫力と衝撃でしんどすぎて「えっ、このままの気分でご飯を食べろと?」と開演前に買った特別弁当を眺めながら呆然とした。

おいしかったです。

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ここまで感想をつらつら書いてみて、ほとんど音楽の話をしていないと気付く。ミュージカルというわりには曲数少ない?音楽劇って感じだった。結婚式の歌、後半の演出が怖すぎてちょっとトラウマになるわ…。
つらいシーンを見るたびに、あぁここが歌だったらよかったのに!と思ってしまった。歌だとちょっとつらさが緩和されません?人によるか。

親子ペアチケットが発売されているし、あちこちで「子どもに見てほしい」と歌われているけど子どもが見たらどういう感想を抱くのかとても気になる。色々あるとはいえ、親にいじめられている子どもの話であることは違いないんだし。
一幕終わりでぐずっているお子さんを見かけたのだけど、内容が怖かったからじゃないといいな…?

 

大阪公演も行くので、大幅な追記はしないかもしれないけどちょこちょこ訂正するかも。名付け親の名前とか。

推しの晴れ舞台、手放しで楽しかった!面白かった!というタイプではなかったけども、素晴らしい作品だったのでやっぱりみんなに見て欲しいなぁ。東京もあと半月あるし、大阪は来月でまだチケット買えるので是非!お安いA席もまだ買える日あるよ!

 

この座組で揉まれたよしくんの次の作品がとても楽しみ…なんですけど次なんなんだろう。個人的に直虎に出て欲しい。

髑髏城良いとこ一度はおいで。~season月キャスト発表~

朝起きて寝ぼけ眼のままスマホを触って、「マジか!!」って飛び起きるこの感じ、結構好きです。発売前雑誌からの情報漏えいだのマスコミスッパ抜きだのが多い昨今、こうやって新鮮に情報解禁を楽しめるのが嬉しい。

 いやー、耕史さんが新感線出るよって発表されたあの日を思い出した!起きたらリプライとかLINEがいっぱい飛んできてたんだよ。今回発表された若手俳優クラスタの間でも朝っぱらからそれが行われていたと思うと、ネットの海に向かって敬礼したくなる。推してるみんなおめでとう!冬はみんなで豊洲で回ろうな!あと貯金頑張ってくれ!!
いやまぁ、今一番生きてほしいのは早乙女太一さんクラスタだけども…生きて…。

 

髑髏城の七人はいいぞ!
ストーリーはわかりやすく(その分細かい考察いっぱいできるしキャストによってかなりキャラが変わる)、着流しに長髪、チャンバラいっぱい、そしておそらく月は歌うし踊るのかな?ただでさえ要素が盛りだくさんな上に客席が回る。正直一回だとキャパオーバーでわけわからんようになると思うので何度か行って欲しい。

ステージアラウンド東京、調べると傾斜なくて見づらいとか周りに何もないとかいい話があまり出てこないのですが、一度行ってみたら「確かにこれは劇場に足を運ぶべきだわ」って思う。カーテンコールは必見。

 

わたしは耕史さんを推しと呼びつつ若手俳優さんも応援していて、年に数回は所謂2.5次元舞台に行ってはしゃいでるのですが、月のキャストはさすがにその数回でも充分にわかるメンバーでびっくりした。生で拝見したことのない方はいるけど、DVDやらドラマやら、推している友人からのマーケティングやら、何かしら接したことがある。

推しが帝劇に立つ』って、やっぱり夢じゃないですか。『推しが新感線に出る』って、これも夢だと思う。それがこんなに一気に叶ってしまった…これは革命だ…。わたしも10年後くらいに若手の推しに新感線出て欲しい…。

 

一人ずつの印象でも書き出してみようかと公式行ったら、えっあの人も出るの!?あの人も!?みたいな感じで収集がつかなくなったので以下箇条書き。

 

・あのバカでかい回る板に若手がいっぱいでしかもほぼ毎日マチソワとか大丈夫かーでもダブルチームなのは安心…しかし公演数自体はそこまで減ってない…?

・初舞台がステアラって福士のそーちゃんマジで大変だろうから頑張ってほしいな…ラスボスが人外早乙女太一とか分が悪過ぎるぞ…いっぺん変身しとく?っていうか(おそらく)敵に横山さん(レオ・ゾディアーツ)がいるから上弦実質フォーゼでは?

・マモの捨之介すでに想像できるな…しかし下弦の方に普段2.5に出てる俳優さん固まり過ぎでない?せっかくダブルチームなんだしもうちょいバラけてもよかったのでは。

・拡樹くん蘭兵衛じゃないの!?青いジャケット着て踊らないの!?君だけだよおらん!(すいません)拡樹くん優しい顔をしているけど、天魔王絶対すごいものになると思う…安心感ある…。

・少年沙霧は一度見てみたいとは思っていたけどこのタイミングでか。平間そーちゃんの霧丸絶対かわいいしここぞという時かっこいいだろうな~。松岡くんの霧丸っていう単語の忍者感。

・太一さんの天魔王ってそれだけでただただ尊いのでは…すごいなぁ…。

・安田桃太郎さん上弦下弦どっちにもいるのどういうことなの

・上弦だと人見早苗さん、下弦だと肘井美佳さんって何その最高の女幹部。めっちゃ推したい。

・ちゃんともと三浦くんのファン生きて欲しい。

 ほんとにこれだから。ちゃんとも、スカピンあたりから色んなところで見かけるようになったけどすごいなぁ。

・兵庫がどちらもかわいい。須賀くんは子どもの頃のイメージが強いから、最近ハイキューとかNARUTO出てるよっていうとみんなびっくりするんだよなー。木村の了くん蜉蝣峠に出てたの初めて知った。二回目なんだな新感線。

・大御所太夫二人生で見れるの普通に嬉しい!

 

とかなんとか言ってますが、本当にわたしはどちらも見ることができるのか!(スケジュール的な意味で)

極も発表されましたね~こっちの詳細も楽しみ。
花で燃え尽きた気がしてたけど、ドクロイヤーはまだまだ続く…。

グランギニョルとSPECTERは一対である。(ギニョルのネタバレそこそこ有)

2020/7月はじ繭で追記

グランギニョル公演前、シリーズ作品はまだ各種TRUMP、LILIUM(+二輪咲き)、SPECTERの3本のみ。そんな当時、SPECTERだけを未見のままグランギニョルを見に行った繭期が自分の周りに多くて「も~~~~!!」って憤りながら書いた記事です。そのへんご留意下さい。

 

ここから当時の記事

グランギニョル感想ではないです。SPECTER贔屓の繭期が、グランギニョルありがとう!って言ってるだけの自分語り記事です。ただグランギニョルネタバレはちょっとあります。
あえてSPECTERネタバレを避けているので、まだSPECTER見てないって人も読めるやつだと思います。

 

観劇遠征2つ目、ピースピット『グランギニョル』8/3ソワレ。髑髏城(ステアラ)からデリコ家(サンシャイン劇場)、あまり乗り換えせずに行ける場所で助かった…。
ネタバレを避け続ける自信がなくてできれば東京で見たいなぁと思ってたので、乗り込んできました。サンシャイン劇場初めて。最近東京の劇場に色々行けていて楽しい。

で、ギニョってきたんですけど、まだ全然飲み込めていない。噛み砕けてない。
未来に繋がるアレコレのワードにぐっと来たり、キャストの熱演に涙したりはしたけども、思ったより繭期を拗らせていない。あまりオペラグラスを使わずに全体を見ていたので、細かい表情を追えてないからかもしれないし、思ったより人が死ななかったからかもしれない(ダリゲル以外全滅を覚悟してた)。作中で結構時間が経つので、時系列に混乱したからというのはあるかな…。

ただ大阪公演観たら絶対変わると思うので、とりあえず細かい感想や考察は一旦置いときまして。どうしても言いたいことがあったので(Twitterでは散々言ったけど)その話をします。

 

 

開幕すぐのシーンからずっとこのことが頭を占めてたんですけど、

グランギニョル、めちゃくちゃSPECTERやん。

これ以上ないくらいにSPECTERやん。

 

 あれだけ!見とけって!言ったでしょ!(伝わってない)
見てない人は見て下さい、グランギニョルと同時期、作中でもすこし触れられたけど、あの残酷劇の裏で何が起こっていたかがわかるとグランギニョルの残酷さが増す。ほんとに。

 

www.amazon.co.jp

 

わたしとTRUMPシリーズの出会いは以前別記事でも書いたけど、劇団Patchに興味をもった頃に次の公演がSPECTERで、軽率に行こうとしたら繭期の友人らから「待った!!」って過去作DVDで殴られたのが始まりです。それ以降は追えるだけ追ったので、再演以外はだいたい見たはず。

初めて生で見た、という補正はあると思うけど、わたしシリーズの中でSPECTERが一番好きなんですよ。今現在劇団Patchを推している原因がSPECTERにあるかというと微妙(特典映像のオフショットで落ちた)なんだけど、中の人達が大好きなのも勿論ある。あと、SPECTERはキャストに男女が混ざっている唯一の作品(※グランギニョル以前)だったので、そこが個人的に好きなのも大きい。

 で、切ないことに繭期だけどSPECTERはまだ見てないって人めちゃくちゃいるんですよね。正直わかる、わかるよ~TRUMPから見たにしろLILIUMから見たにしろ、そこ二つに囚われてしまうのはめっちゃわかる。ソフィとウルが好きだと尚更。LILIUMからだと、TRUMPが完全に答え合わせになるからそこで完結してしまう人もいるよな…。
SPECTERの主人公はハンターの臥萬里ですと言われても、バンリって誰だっけ…って思う人も一定数いると思う。舞台がクランじゃないし。

でもSPECTERは、『ソフィ三部作』の一つなんです。これ以上言えないけど。

TRUMPシリーズの布教しづらい点として、あらゆるものがネタバレになってしまって内容の紹介がほとんどできないってのがあるじゃないですか。SPECTERは特にそれで、なまじ主人公が萬里なだけに時系列すら明記していいのか迷う。(グランギニョル公式で『TRUMPから14年前』って書かれてたけどそれは言っていいやつなんですね)○○○○が出てくるよ!なんて言えるわけがない。

D2やNU版のキャストやハロプロの子達のように、役者で勧めるには劇団Patchはまだ知名度が低くて、内容も言えないし、どうしたもんかと勝手に悩んでいたりしたところにグランギニョルの公演が決まった。しかも、グランギニョルとSPECTERが同じ時期の話だということも明言された。

これで!!グランギニョルの予習になるよっていう名目でも!!!SPECTERをオススメできる!!って喜んだしちまちまそういうツイートしたりしてたんですけど、わたしにそんな影響力があるわけではなく、チャンネル課金で見れるTRUMPと、無料配信をしていたLILIUMの先にある、円盤買わないと見れないSPECTERはまた飛ばされていたのであった。見てくれた人もいっぱいいるっぽいんだけどね。ありがとうございます。

これだけ言って、まぁあんまりSPECTER関係ないかもしれないしな~と思いつつ観に行ったんですけど。

 

グランギニョル、めちゃくちゃSPECTERやん。

 

追われている人物が四方から囲まれて襲われるのSPECTERじゃないですか。ハンターの片方(春林)が記録を読み上げるやつ、SPECTERじゃないですか。父親のわからない妊婦が出て来るのも作中で出産するのも、SPECTER。殺陣が圧倒的に多いのも、我が子を抱く親も、記録が語られていく後方で逃げるヴァンプ(キキ)も、拾えてないとこもっといっぱいあると思うけどSPECTERですやん。

めちゃくちゃ対になってる!!!たのしい!!!

こんなに演出をかぶせてくるなんて思わなくて、そこにずっと震えてた。嬉しくて。
TRUMPとLILIUMは演出面だと一対じゃないですか。クラン、ティーチャーと監督生、噛んじゃダメー!の流れ、ダンス。キリがない。TRUMPを見た後すぐにLILIUMを見て、「あっこの台詞さっきも聞いた、さっきもこのBGM聞いた」っていう発見が楽しくて(それが後々ダメージになるのも含めて)、SPECTERに対するそれを体験できたのがめちゃくちゃ嬉しいんですよ。

 

なのでグランギニョル見た後、あまりに晴れやかな顔で友人に「(単体で見たら)ハッピーエンドだった!」って言ってしまったのだけど、同意を頂けたのでそれはありがたかった。殴られたらどうしようかと思った。確かに今後の展開がわかっているだけに辛いのは確かだから、大阪公演見た後に改めてめっちゃ沈んでいるかもしれない。
でも今とてもハッピーだし、どうやら物販にSPECTERが置いてたそうなので、今後見る人が更に増えるかと思うと本当に嬉しい。みんな感想絵描こうとして衣装の模様で挫折しないで欲しい。頑張って。

 

このハッピー具合を加速させているのが、グランギニョルのパンフと8/2深夜の末満さんのニコ生です。
わたしはSPECTERの中でもハンターコンビの萬里と石舟が大好きなので、こんなに色々設定を拾い上げてもらえるなんて…!って踊り出したい気分。ホントに。

ギニョって友人とご飯食べてひとりでホテルに戻り、パンフ読んでニコ生タイムシフト見て、もういてもたってもいられなくて書いたのがこちら。

 

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大阪公演楽しみです!

『髑髏城の七人season鳥』8/3マチネとちょっとライビュ

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推しさんの舞台以外の遠征はできるだけ控える、というスタンスでやっているのですが、あまりにも見たい舞台の期間が重なっていたので遠征してしまいました。ほんとは帝劇にもクリエにも行きたかった。

そんなわけで観劇遠征一発目、鳥髑髏!
ライビュで見て、やっぱ回りてぇ~~!!って思っちゃったのであらかじめチケ取ってた自分マジでGJ。
マチネの感想が基本ですが、時々ライビュでの感想が混じります。
ちなみに事前のネタバレはほぼ回避できました。ナタリーとかの記事をちょっと見た程度。

あと花の話も結構してる。こっちが良い悪いっていう比較はしてないはず。特に天と蘭あたりは花でもずっと注目してたので、ここがこう違う!楽しい!っていう感じ。


今後もう見る機会がなくてこの記事に感想全部詰めるので、無駄に長いです。長すぎたので普段やらないんだけど追記にしまいます。

 

続きを読む

Patchについてぼやく。

好き勝手ぼやきます。

ざっくり言うと「ぱっちが減っていくの寂しい!!!!!」しか言うてないけど。

 

そうそう、よしくん『にんじん』初日おめでとうございます!今週行くしめちゃくちゃ感想書くので、まだ迷ってる人いたら参考にしてね!!こんなついでのように言いたくなかったんだけどな!!

 

 

わたしが劇団Patchにハマった要因のひとつに、2015年の秋頃からあまりテレビを見なくなったっていうのがあるんですね。テレビが苦手になって、カットも編集もされずに生で(勿論舞台裏の様子はわからないけども)受け取れる「舞台」ばかり見るようになった年。
2015年夏に推しさんが結婚して、それはもーーーーーーアレコレ叩かれまくって、ワイドショーやネットニュースが如何に悪意をもって編集されたものだったかを思い知って(全てがそうだとは言わないけども)、それでもかろうじて音楽番組で輝くアイドルに癒やされたりしてたんだけどもそれも2016年に奪われて。

芸能界って、事務所ってなんなんだろうなぁって思った。

 

そんな折に、テレビにはほとんど出ないけど自分たちでチラシを配ってチケットを売って、仕込みもバラシもやって小道具も作って、精一杯演劇に向き合ってる彼らの輝きにフラフラと惹かれたんですよね。

Patchはアイドルじゃないけどもブロマイドが買えたり、握手会のようなノリで一対一でお話する機会も結構ある。小劇場の公演後の面会とかね。手売りでチケットを買えばだいたい一緒に写真が撮れたりする。かと思えば劇場ロビーであまりに普通に客として座っていたり、twitterでめちゃくちゃ酒を飲んでいるし写真の背景ぼかさない。一般人と芸能人の境目がふわふわしてることが多いなと思います。いや芸能人なんだけど。たまに境目完全になくなっててコラコラって思うけど。現在地のわかるツイートにはほんと気をつけて欲しい。

わたしはPatchのそんな半分一般人みたいなところはめっちゃ好き。ワタナベという大きな事務所に所属してるわりには芸能人として眩しすぎない…というと語弊があるのだけど、応援したくなる感が半端ない。

そうやって2016年頭から応援し始めて2017年明けにこれを書いて、

yhforestmk.hateblo.jp

それから半年と少しで末満さんがPatchから去り、劇団員が4人(村川くんはこれ書いた時点で決まってたとはいえ)減るとか何事!!?!?!
って思って今ぐだ巻いています。メンバーの入れ替わりが激しいのは今に始まったことではないし、ここ二年分くらいしか知らないお前が何を言うねんって感じだけど。

 

Patchの良いとこの一つに「バラエティに富んだメンバー」っていうのがあると思っていて。根っからの演劇馬鹿ばかりではなく、演劇に興味なかった歌手志望とか、サッカーしかやってこなかった子とか、空手と特撮とジャニオタとか、歌がめちゃくちゃ上手い子けどちょっと横幅がある子とか、アニオタでドルオタとか。それぞれ誰のことかは上の記事参照で。
オーディションでもキャラ得部門を設けたりと「イケメンでなくても演劇できなくても最初はオッケー」ってことを事務所も推奨してるんだな~って思ってたんですけど、最近演劇一本に絞ってるのか…?って思うことが多すぎて。

それだけバラエティに富んでるから、最近色んなことがメンバー内でできるようになってきたんですよ。先の本公演「羽生蓮太郎」は、日替わりと声の出演を含めて劇団員が全員出演した上に、演出助手とプロデューサー補に村川・宣伝美術に竹下・パンフ構成に中山・衣装進行に藤戸・小道具製作に星璃と吉本とスタッフ欄もメンバーの名前だらけ。(次回本公演「JOURNEY-浪花忍法帖-」では小道具以外に殺陣つけを星璃が・衣装の一部を田中が作ったりと、きっと他にも色々している。)
劇団員皆でひとつの舞台を作り上げていて、それがもう最高に好きで。尊い。演技が得意じゃないメンバーもそれぞれの方面で活躍ができる環境。

あぁ、末満さんが離れられてもPatchは大丈夫だって思ったし東京公演決まった時もめちゃくちゃ嬉しかったんだけども、そっからこんな立て続けに減るとかマジかよ!?!?

外部仕事との兼ね合いもあるから常に全員が本公演に出てくれとは望まないけども、別の仕事をしながら劇団をサポートしたり、今回は裏方スタッフでとか、しばらく不参加でとか、そんな感じじゃダメなのかなぁ…ダメなんだろうなぁ。小劇場の役者さんってそういう感じの方が多い印象なのだけど、大手事務所所属だとそういう自由はきかないか。東京進出するなら身内だけでゆるゆるやってるのは許されないのかな。そういうことも好きなんだけどなーーしょうがないのかーーー。

本公演に出なくても、ありちゃんの声はもっともっと聞きたかったし三期ツインタワーで二人舞台とかやってほしかったし、真吾ちゃんはずっとメンバーの太陽でいてたまに物販とかで迷言生み出しまくってほしかったし、やまちゃんにはまたブロマイドやアニメイトイベントをプロデュースしてほしかった。でもそんなの全部わたし(ファン)側のエゴだもんなー!みんな新しい道をみつけてそっちを優先したいなら、寂しいけれど応援できる。でも特にやまちゃんはハブレン後のブログの印象が強かったから悲しいわ。そんなに芸能界は甘くないと言われればそれまでなのだけど。

 

5期オーディションが控えている(もうやってるか?)のだけど、何人入るんだろう。どういう子が増えるんだろう。演劇経験者が多かったりするのかな。
わたしはまだ新しい子が加入してくるのを体験したことがないのだけど、もう少し心穏やかな状態で迎えたい。