ぼちぼち観察記録

見た舞台の感想やオススメや自分語り。関西小劇場と、推しさん。

世にも奇妙なエンターテイメント 劇団壱劇屋『新しい生活の提案』

壱劇屋をいつどこで知ったのかが全く思い出せない。
2015年には名前すら知らなかったはずなんだけど、2016年頭にSQUARE AREAの残席状況ツイートを見て「行きたかったなぁ」と思った覚えはあるし、そのつぶやきをRTされたのも覚えている。その時点で、めっちゃエゴサする団体だということも知っていた。初演磯ミュの時に竹村さんを「壱劇屋の方だ」と認識していたし、その年の中之島文化祭で簡易版スクエリを見れて喜んでいた。
なのできっかけが本当にわからない。いつの間にか心に潜んでいた奇妙な存在、壱劇屋。

まぁそれはさておき、壱劇屋さんの公演は昨年の『独鬼』に続き二回目。
小劇場の感想で毎回書いてる気がするけども、これもチケットを取ったのは結構あとになってからだった。
元々殺陣が好きなので、マイムがメインだとそこまで食指が動かず。タイトルで「新人社会人が大変な思いをする系なのかな」と勝手に想像していたらメインビジュアルが史群アル仙さんの絵で、twitter等でその作風を知っていた(※好きです)ために「やっぱりしんどいやつなのでは??」と更に敬遠することになった。

その後中之島文化祭で導入部分を見て「やっぱ面白そうだなこれ。行こう」と思い直す。劇団SOLAの高安智美さんが客演で出ていることに気付いたのも大きかった。
まだ日取りが決められないなと終演後の手売りはスルーしたのだが、twitterをチェックし『日替わりゲスト:中山義紘』の文字を見て日付も何も確認せずに予約したら平日の昼間で、仕事を早退する羽目になる。

 

 新しい生活の提案

ライフカードのCMっていつぐらいにやってたっけって調べたら2007年くらいまではやっていたらしい。主役の名前(小田切乗助)や選択肢のカードや決め台詞に「うわなつかしっ!」って思ったのだけど、この作品は2012年の再演なんだったっけ。当時としても懐かしかったのかな。

日常が少しずつズレていく様が見事で、どんどんその世界に引きずり込まれていく。なんでここまで醤油推しなんだろうなぁっていう疑問は浮かんですぐに消えてしまっていて、終盤の「お醤油貸して下さい」の台詞まで全く気付けなかった。お醤油とお金がひっくり返っているから、お隣さんが借りていくのはお金。醤油メーカーのATMには笑っていたのに、ここで気付いた瞬間ぞわっとした。

重厚なBGM(バリサクの音がめっちゃ刺さる)と繰り広げられるパフォーマンスと軽快な台詞回しでテンポよく進むから、ツッコむ暇を与えない。家を自作(しかもマジで物理的に舞台上で自作)とか妙な仕事とか通貨が唐突に醤油になるとか電話と煙草がひっくりかえるとか、他にもどう考えてもおかしいことだらけなのにそれらを考える余裕がない。客席を置いてけぼりにしそうなスピードで物語が進行していく。そういうのが苦手な人はダメかもなって思った。

あ、個人的に舞台上で御飯食べるのを見るの結構好きなので、食卓のシーンで本当に野菜炒め食べてておもしろかった。
あと生前前前葬のシーンあんまり意味なくてわらった…初演だとなんの曲でやったのかな…というかそもそも生前葬のシーンなのか?曲前提では?

あくまで新しい生活の提案・実施をするのは市役所だから、市の外から来てその後出ていった弟はこの不思議な世界から放り出されたからあんな変なことになったのかな。家の近く(市内)に来たから全身タイツで姪に煙草して醤油受け取って帰った弟。あ、でも闇金の事務所で煙草してたから境目にあるのかなあの場所。兄もいないことになってたし。不思議。

市役所と家とレストランとの境目が曖昧で、見てるこっちが混乱するだけかと思ったら小田切もわからなくなってたのが気味悪くてよかった。どんどん進化(?)していく服飾がだいぶ気持ち悪くてもはやホラー。twitterで大熊さんが遊んでいた長い手の担当が智ちゃんだと思っていなくて、単純にすげぇ!って思ってずっと見てた。すごい。

仕事はちゃんとするし、西野へのセクハラはちゃんと止めるし、言い寄られてるのに気付いても嫁を選ぶし(夜積極的な嫁が来たからだけども)、信仰の勧誘はできるだけやんわり断るしと小田切が「普通にいい人」なのが興味深かった。こういう話って調子に乗った主人公がどんどん力を悪用していって自滅するパターンが多いから。気軽に嫁チェンするのにはおいおいって思ったけども、嫁が変わろうが、通貨が醤油になろうが、家を自作しようが、結局弟が金の無心に来て嫁と言い争うことは変わらないだろうし。
最大の選択はラストの「新」「旧」であることは間違いないだろうけど、「嫁」「弟」もきついなぁ。あれでもし「嫁」を取っていても、結局小田切は弟の助けを断れない気がする。

何を選んでも結末はあまり変わらない。でもそれが絶望的だというわけではなく、小さな選択次第で先延ばしにしたり、少しずつズラしていくうちにまた違う選択肢が見えたりするのかもねって思いました。これストレートで見たらしんどいやつだったので、マイムで緩和されてたのありがたかった。

 

 

みんな衣装が赤シャツ+黒のボトムスで統一されててとてもよかった!動きやすさとかキャラとか後半の服飾の進化のためとか色々あるんだろうけど、ボトムスがみんな違ってた。そんな中で一人スーツの竹村さんがなんだか可愛い。前後ひっくり返したスーツが妙に似合っていて段々違和感なくなってた。

終盤は特にどうやったらそんな動きできるの!?のオンパレードで、ダンスやマイムに詳しくないわたしはただ口を開けてポカーンと見ていただけだった。
照明も綺麗で舞台写真もとても素敵。基本的に動き続けている(だから食卓とか借金のシーンで止まった時に空気が変わる)から、ここ良かった!と思っても言葉で表現しづらいし絵にもしづらい…。

とりあえず可愛かった智ちゃんの動き。

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新しい提案をする度にこうやって下からしゅばっと出て来るの可愛かった。
そういえば筋肉少女感想とアワベビ感想に載せてある絵も智ちゃんなので、地味にこのブログには3人分の智ちゃん絵があることになる。めっちゃ好きです。

 

そんで、日替わりのよしくん。

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日替わりゲストの役どころが「夜積極的な嫁」なので、この昭和ノリのセクハラ魔(※対劇団員)はどんな爆弾投げてくるのかと思ったら思ったよりはおとなしかった。手作りのクリームチーズプリン、絶対自分が食べたいだけやろ。
アフトーで大熊さんに容赦のないマジレスしまくってたのおもしろかったです。

 

次の壱劇屋さんは五ヶ月連続公演「五彩の神楽」!すでに五ヶ月全部行く心づもりで居ます。楽しみ。