ぼちぼち観察記録

見た舞台の感想やオススメや自分語り。関西小劇場と、推しさん。

運命を感じたので宙組オーシャンズ11を見に行った話。

どうやって感想を書こうか迷った。
キキさんに運命を感じたのは事実だし、チケットの巡り合わせも運命だった。そしてこの作品は、『運命を変える街』ラスベガスが舞台である。

だけど、わたしが今回見に行こうと思った最大の理由は「5年ぶりに、もう二度と聞けないと思っていたオーシャンズ10』が聞きたかった」から。

そんな2014年梅芸版オーシャンズ11の亡霊が、初めてムラに乗り込んだ話です。感想という感じではない。前置きの方が長いし自分語りばかり。ご了承ください。

いやほんと長すぎたので前置き興味ない人ここから飛んでください。 

 

過去エントリでも何度か言ってるけど、わたしが推しさんもとい山本耕史さんに陥落したのが梅芸版「オーシャンズ11」である。
新選組!から数えること十年。ずっと茶の間ファンで、数々のミュージカル・舞台情報は把握しながらも「ミュージカルも海外作品も興味ないしな~また時代劇ドラマが見たいな。慎吾ちゃんと共演してほしいな。」と思い続けた十年。その雑で都合のいい要望に答えるように、そのニュースは飛び込んできた。

香取慎吾観月ありさ山本耕史オーシャンズ11やります!!」

速攻でファンクラブに入って(入ってなかったんかい)、当時職場でド新人だったにも関わらず「6月に有給ください!!」って宣言した。
新選組!から十年の記念すべき年に、局長と副長が再共演!しかも立場も似たような役!と完全にミーハーな気持ちで気軽に見に行ったら、舞台で踊る彼の姿を見た瞬間一瞬で落ちた。燃える太陽の矢が胸に飛び込んだ。サクッて刺さる音がした。初めて「推し」という概念を理解した。
それ以来彼はわたしの「推し」になり、彼を追いかけ出演作を見ているうちにミュージカルそのものにハマって今に至る。

まさに、運命を変えた作品だった。

 

推しさん演じる梅芸版ラスティーには、新曲があった。ダニーとのデュエット曲「オーシャンズ10」と、ポーラとのデュエット曲「LET ME LOVE YOU!」の2曲。地下金庫の曲もラスティー担当になっていた。
特に「オーシャンズ10」は組!の近藤と土方、香取さんと推しさんの関係をそのまま詰め込んだような曲で、二人の掛け合いやハモリにクラクラしたのを鮮明に覚えている…というか、音源化も映像化もないのがわかっていたので、無理やり覚えた。歌詞は書き出したし振付はできる限り絵に起こした(「LET ME~」の方も)。
それでも、メロディーはどんどん忘れていく。今思うと、自分で歌ってそれを録音しておけばよかったのだが。

2014年11月に公演が終わり、その2曲は幻となる。できる限りのレポ絵を描き続けたが、わたしのオーシャンズ11は終わった。

 

時は少し流れ2017年。すっかり観劇が一番の趣味になっていて、観劇ファンの友人が増えていた。その中にはもちろん宝塚ファンもいて、花組オーシャンズのDVDを見せてもらったりした。あまりにそのまんまでびっくりした。さすがに振付は違うけど、曲も台詞もだいたいの演出も一緒!潤色じゃなくてイケコオリジナルだからって言われて納得したけど、その中にはあの2曲はない。梅芸版の記憶を薄れさせたくなくて、DVDを繰り返し見ることはなかった。

その年のFNS歌謡祭に、宙組が出ていた。何気なく「最後のポーズで右にいた金髪の人が好みかな」と呟くと、即座にフォロワーからリプがくる。

「芹香斗亜さんですね!」

だそうだ。漢字変換し辛いなって最初に思った。

ここですかさず宝塚ファンのフォロワーに囲い込まれ、あれよあれよと宝塚デビュー…と行きそうなもんだが、2017年のわたしははちゃめちゃに忙しかった。ドクロイヤーだったので。年末にメンフィスもあって、あまりに心と財布の余裕がない。

というわけで、この時はお名前と顔とキキさんという愛称を覚えただけだった。フォロワーからスッとお写真が差し入れられたりもしたけど、それまで。興味あるものは調べて自ら沼にダイブしがちなオタクなんだけど、まぁハマるのこわかったんですよね…!宝塚(に限らないけど)にハマって色んな意味で大変なことになってるフォロワーを見てるし、何よりムラには物理的に通えてしまう。家から近いわけではないけど近畿だし。東京よりは何十倍も近い。

フォロワーたちの影響で時々DVDやテレビで公演を見ることはあっても(ひかりふる路とか)、ムラへ行く機会はないまま更に2年。

 

2019年、ちょっと人生に疲れてあらゆるエンタメを好きなままに摂取しようと思ったら、飛び込んできた情報があった。
「今度宙組オーシャンズやるよ、キキさんがラスティーだよ。」
…えっ。

 マジ?????友人らのご贔屓以外で、唯一お名前とお顔を覚えているキキさんが、わたしが推しに落ちたあの役を???と動揺しながらググった。

逆やん!!推しさんよりキキさんのが先にラスティー演ってはるやん!!(※2011年)っていうか花組オーシャンズにライナスで出てる!!あと新人公演時代のダニーラスティーの再来だと知りエモくて死んだ。なにそれすごい。近藤土方コンビの再来だとはしゃいだあの時の気持ちが蘇る。

運命を感じて、脳内でFATE CITYがぐるぐる回りだす。キキさんのラスティーが見てみたい。宙組オーシャンズ、行きたい。でもチケットもう無い。そりゃそうだ。そうだよな~!!

 

4月に入り、公演の全容が見えてくる。
宙組オーシャンズ、新曲あるんだって。」

えっ!!???

それは、まさか。いやまさか。いやいや違うでしょだってあの曲はアテ書きで…いやでも、もしかしたら、そんなまさか。

って唸っていたら、数日後にフォロワーから連絡が来る。
オーシャンズ、同行者が行けなくなったんだけどよかったr「行きます!!!!」

秒で答えたのはいいものの、こんな理由で行っていいのか迷った。新曲は、あの2曲どちらとも違うかもしれない。もちろん他の曲も作品そのものも好きだし、ムラに行ってみたかったのも、キキさんを見たいのも事実だけども。

でも、こんなの運命じゃないか。

 

そして初日後のレポ。

「ダニーとラスティーのデュエット曲『オーシャンズ10』、すごくよかった!」

あっ。

 オーシャンズ10が、聞ける。パンフレットに歌詞が載る。円盤になって音源が残る。幻で、二度と聞けないと思っていたあの曲が。
嬉しくて嬉しくて、部屋で号泣してしまって親にビビられたりしたけどそれはともかく。

やったああああ!!!!!!!

同じように梅芸版に通ったフォロワーも同じ回に入るとわかり運命ポイントが完スト。
初めての大劇場にそわそわドキドキしながら行ってきました。

 

      ここから当日の話。

オーシャンズ11』4/28ソワレ

売店、多っ!!!が第一印象。なんだここはショッピングモールか。いや某夢の国か?お土産のバリエーションがやばいしモロゾフとかルクルーゼとかなんかすごいのばっかり。あっ噂の郵便局だ。えっこんだけ売店あってキャトルレーヴはまた別にあるの!?って広っ!!グッズの種類と潤沢な在庫やば!もうここだけで生活用品全部揃うのでは?
完全におのぼりさんである。

特にすごいなと思ったのは、どこのお店も「適度に」混んでいること。カフェやテラスを見回すと、どこかには必ず空席がある。長く見えるレジ列も、数が多くサクサクはけていく。計算された空間だ…。

あっ噂のすみれ色のピアノ…じ、JUMP!が流れてるーーー!!本当に…本当にオーシャンズ11を見に来たんだ…!と開演前から大はしゃぎ。A席なのだけどめっちゃ見易い。どこまでも計算されている…すごい…!
きっと始まってからも要所要所で泣くんだろうな…と覚悟を決めていたら、まさかの105期の口上で開幕即爆泣きでした。キラキラした若者が頑張っている姿に……弱い……。

 

FATE CITY』で人がババっと増えたけど一瞬でキキさんを見つけたのちょっと自分に笑ってしまう。(他の方のお顔をちゃんと把握してないというのはあるけど)

トップお二人のオーラに圧倒されたり、出てる人みんな足が長過ぎる顔が良すぎる歌がうめぇダンスがうめぇ、と途中からだいぶ頭がバグっていく自覚はあったんだけど、時折ふと梅芸版の振付を思い出す。NEVER GIVE UPのステップ好きだったなぁとか…覚えてるもんだな…。

オーシャンズ10』は、仲良しのダニーとラスティーでやるとあんな感じのバディ感が出るんだな!!?ってすごく微笑ましくなった。梅芸版と各宝塚版、男女だとか歌のキーだとかそういう根本的なところ以上に違うのが、香取ダニーは、山本ラスティー超・塩対応。 アテ書き極まってる。

なので全然違うものとして見れたのもありがたかったんだけど、キキさんのラスティー可愛い~~~!!!チャラくて、少しだけ垂らした前髪がセクシーだけど笑顔が可愛らしい!!ダニーの「隣」にいるラスティーだった。(推しさんのラスティーはダニーのちょっと後ろにいたので)タバコ吸いながら歌うの超良いやん…可愛いとかっこいいの同居具合がかんぺき…。歌割りは一緒だったよね?上ハモリやっぱりサイコー。

 

全体的に、当時を思い出したり眼の前のキラメキにやられたりと感情が行ったり来たりしていた。バシャーがかっこよくてビビったし(そもそもそういう役だったわ!)、自己紹介曲が増えた代わりイェンのソロなくなってる?イェンヨーヨーうまい!フランクの髪型(長髪ウェーブ)は梅芸版に寄ってるよな、ラスティーのベージュトレンチコートも金庫の歌割り(ジョンソン先生からそのまま着替えて歌う)も寄ってんのかな!?(星組は見れていないのでトンチンカンなこと言ってたら本当にすいません。)情緒が!忙しい!!

オーシャンズ10はもちろん、宙組オーシャンズは梅芸版を経たものになっているんだなぁって嬉しかった。別に黒歴史だとは思っちゃいないけど、映像化も音源化もなくて記憶から消えれば終わりだったあれこれが宝塚の中に残った。小池先生の中でちゃんと生きていた。ほんっとうに嬉しい…ありがとうございました…。
そうなると「LET ME LOVE YOU!」がないのが悔しいのだけど、そもそも梅芸版にはママのテレサが居ないからこそあの曲があるんだよなぁ…リカルドが捕まったあとのポーラ、ほんとに一人ぼっちで心細そうだったから…。いつかこっちも聞けたらいいな!可愛いんですよ、ラスティーとポーラの結婚するしない痴話喧嘩ナンバー!

フィナーレの最初にキキさんが「愛した日々に~」を歌うの、キャラ的に考えるとちょっと笑ってしまう(以前まではベネディクト役の方が担当だったと聞いた)んですけど、新人公演でダニーをやたキキさんが再びあのナンバーを歌うのってエモの塊なんじゃなかろうか…って、詳しくないのに勝手にしみじみした。

 

そういう色んな渦巻く感情を一気に押し流す、105期のラインダンスがほんっっっとやばかった。NEVER GIVE UPとJUMP!のアレンジで踊るのやばくないです!?この舞台に立つまでいーーーっぱい大変なことあっただろう若い子たちが、「NEVER GIVE UP!」「気持ちだけは折れたことがない」「何故っていつも言い聞かせてる」って歌いながら、希望に満ち溢れた顔で…踊るの…やば……。105期に知人でもおるんかってくらい客席で号泣してしまった。あとめっちゃ個人的な理由なんですけど、モーニング娘。が好きなので「105」のことを「ワンオーファイブ」って言うのが刺さった。

最終的にフィナーレは総勢100名超えだったんですかね?数の暴力、とは思わなくてただただ華やか。すごかった。

 

 

大きな劇団を見に行くと、箱のサイズと演出とキャストの技量がぴったり合っているところに毎度感心してしまう。若手舞台の成長を見守る感じや、小劇場のちょっと狭くて慌ただしそうなところもそれはそれで好きなんだけど、いつでも見たいものを見せてくれる安心感はさすがだなぁと。それらが当たり前のように見えているところもすごい。

梅芸版を見た時に「どゆこと?」って思っていた演出は宝塚のために作られたもので、宝塚で見るとぴったりハマる。(じゃあ梅芸版では演出変更してよと思わなくもないけど。)人数が多くて衣装がきらびやかでそれを最大限に活かしたJACK POTの迫力とかすごかったし、ラストシーンの照明がすっごく綺麗。全てが洗練された演出。 

そして、わたしがこれまでDVD等を見ていて感じた「全員が女性」だというほんの少しの引っかかりが、劇場で見ると何も気にならなかった。観劇慣れしてない一般人から敬遠されがちな派手なメイクと衣装、大げさに見える役作り。観劇に慣れてる自分もそこがずっと気になっていたのだけど、そんな気持ちはじんわり溶けてなくなった。

きっと、「ムラ」と呼ばれる空間そのものがそうしてくれたんだと思う。もちろん、DVDと実際の観劇では見え方が違う。でもそれ以上に、隅から隅まで宝塚しかないあの場所にいると何も気にならなくなった。全身でどっぷり浸かることができる。とんでもない空間だ…そりゃ、戻ってこれなくなるよな…(宝塚にハマって以来他の現場で会えなくなったフォロワーたちの方を見ながら)新しい世界を知れた。

 
運命が変わった作品に運命的な再会をした、平成最後の観劇でした。 
 

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