ぼちぼち観察記録

見た舞台の感想やオススメや自分語り。関西小劇場と推しさんとミュージカル。

「山本耕史=時代劇」という人に観て欲しい、ミュージカル『メンフィス』

突然ですがわたしの「推し」は俳優の山本耕史さんです。今年の10/31に41歳になられまして、それと同時に芸歴も41年という、文字だけ見るとめっちゃ大御所みたいな方です。推しを推すようになったきっかけってエントリもいつか書きたい。

 

ところで、世間的な耕史さんのイメージって

・『ひとつ屋根の下』の柏木文也

・『新選組!』の土方歳三(そして香取慎吾さんの親友)

・『真田丸』の石田三成

堀北真希さんと結婚した方

ほぼこの四つのどれかじゃないかなと思います。(※個人的な印象です)最近の「植木等とのぼせもん」「トットちゃん」で初めてしっかり見た、という方も居たようで嬉しい!

他にも数多くの映像作品・舞台作品に出演されていますし、最後に至ってはドラマの話ではないですが、

もっとざっくりしたイメージをひとつだけ上げるとなると

山本耕史=時代劇の人

じゃないです?

上に挙げている二作品以外にも、『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』の坂崎磐音、『平清盛』の藤原頼長、『薄桜記』の丹下典膳、『戦国疾風伝二人の軍師』で竹中半兵衛、『影武者徳川家康』で徳川秀忠…と、メインでない作品も書き出すとキリがないのであとは

山本耕史 - Wikipedia

を参照して頂きたい。
とにかく、時代劇の人というイメージが強いって方がたくさんいると思うんです。

 

そして何より極め付けは、今年春の『髑髏城の七人 season花』の無界屋蘭兵衛。全85ステージという長丁場と、客席が回るという新しい会場のこけら落し公演、そして何より劇団☆新感線作品。ほんっっとに沢山の方が「初めて生で山本耕史を見た」と思います。
「蘭兵衛が美しかった」「殺陣がすごかった」という感想を見かける度に嬉しくて浮足立っていたのですが、その中で

「やっぱり山本耕史って時代劇が一番似合うんだな」

「時代モノでしか山本耕史見たこと無いけど合ってるよな」

「THE・時代劇役者だよね」

と言われているのを見ると、せやろ!!と、ちゃうねん!!という気持ちが同時に襲ってきて勝手に苦しんでいました。
そうなんです、時代劇の耕史さんめちゃめちゃかっこいいんです!殺陣のうまさや所作の美しさは勿論、何より主君に先立たれた未亡人元従者の哀愁の表現が…最高…。

だけどもそうじゃない、いやそれだけじゃない、

山本耕史の真髄は『ミュージカル』での『外国人役』なんだ!!

 

ということで、これはつい三年前までまさに「山本耕史=時代劇」だと思ってたうえに海外ミュージカルに一切興味がなかったのに、舞台上で生きる彼を見た瞬間恋におちたニワカファンによるゴリ推しマーケティング記事です。前置きが長い。

 

◆ミュージカル『メンフィス』

hpot.jp

 

 

山本耕史・・・ヒューイ・カルフーン
濱田めぐみ・・・フェリシア・ファレル
ジェロ・・・デルレイ
米倉利紀・・・ゲーター
伊礼彼方・・・ボビー
栗原英雄・・・シモンズ
根岸季衣・・・グラディス

 

ICHI、風間由次郎、上條 駿、当銀大輔、遠山裕介、富永雄翔、水野栄治、渡辺崇人
飯野めぐみ、岩崎ルリ子、ダンドイ舞莉花、増田朱紀、森 加織、吉田理恵

 

この作品にはミュージカル俳優としての耕史さんの良さが詰まっているので、少しでも彼が気になっている方全てに観て頂きたい…のですが、普段ミュージカルや舞台をあまり観ない層には情報が届きづらい作品だよなと思います。三年前のわたしならきっと観に行かなかった。

その理由ってこの辺りなんですね。

・耕史さん以外のキャストを全く知らない。
・曲も全然わからないし、ミュージカルはいきなり歌い出すのがちょっと…。
・人種差別を扱う作品って重いのでは?勉強しないとわからない?

 これらが気になって悩んでる方には「私もそうだったけど、つべこべ言わず見て!!!」って言いたい。

そんな私の、初演時の気持ちがこちら。

yhforestmk.hateblo.jp

無駄に長いんだけど、ここから下に色々書き連ねることよりこれを読んでもらえたら一番わかりやすい気もする。

 

あらすじはこんな感じです。

 

人種差別が色濃く残る1950年代、テネシー州メンフィス。

黒人専用のナイトクラブを訪れたブラックミュージック好きな冴えない白人青年ヒューイ・カルフーン(山本耕史)は、瞬く間にそこで歌うフェリシア・ファレル(濱田めぐみ)の歌声の虜になる。

しかしクラブの経営者でフェリシアの兄デルレイ(ジェロ)も従業員のゲーター(米倉利紀)も白人である彼のことを快く思っていない。

ある日、デパートで働くヒューイがレコード売り場で、禁じられているブラックミュージックを流したところ、レコードが面白いように売れる。

この騒動で仕事はクビに。しかし音楽が人の心を動かす様を見たヒューイはラジオ局に乗り込み、そこで働くボビー(伊礼彼方)の制止を振り切り、メンフィスの町中にブラックミュージックを流してしまう。

これが思わぬ反響を呼び、気を良くしたプロデューサーのシモンズ(栗原英雄)は、ヒューイをラジオDJとして採用する。

一方、歌手としての成功を夢見ていたフェリシアも、ヒューイのラジオ番組に出演したことで、スターダムへの階段を上り始める。

ヒューイとフェリシアの間には愛が芽生えはじめるが、デルレイ達だけでなくヒューイの母グラディス(根岸季衣)も二人の関係に理解を示さない。

周囲の反対を押し切って愛を貫こうとする二人は街で暴漢に襲われ・・・。

 

STORY | ホリプロ オンライン チケット

 

まずキャスト。知ってても知らなくても全く問題ないんですが、一つ言えるのは全員ハチャメチャに歌が上手い。ダンスもめちゃめちゃ上手い。
そんな人たちがコーラスでどんどん増えていくもんだから、舞台からの圧がやっばい。
特にヒロイン:フェリシア役の濱田めぐみさんの歌声を全身で浴び続けられます。めぐさんずっと歌っているから…贅沢かよ…!

そんで内容。初演の時にラジオDJの話と聞いて全くピンと来なかったんですけど、とてもわかりやすい話です。あらすじをそのまま受け取っていい。
ブラックミュージックが好きな白人DJ、それがどういう風に異質で、異端で、反逆的なことなのかは見ているとよくわかる。ヒューイはデューイ・フィリップスという実在の人物がモデルになっているのですが、特に事前に調べたりはせずに見ました。

人種差別の表現については要所要所の台詞に表されているし、あるシーンだけは直接的で目を覆いたくなる。 ちくちくと胸が痛む。でもこれって人種云々ではなく、現代の日本の、普段生活で身近なところにある差別問題と同じなんですよね。作品とはまた別に、色々考え込んでしまいます。

曲はどれもすっごく良い!飛びつきサイコーのR&Bボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが音楽を作っているのでかっこいいし耳に残る。こんなに、こんなに良いのに今のところCD化もDVD化も予定がありません…(海外版権作品だからね!)(でもアンケートは書こう!)

そして、普段あまりミュージカル見ない人にオススメなんですメンフィス。
全員歌がうまいので聞く楽しさもあれば歌詞も聞き取りやすいし、「いきなり歌う」に対しての抵抗感があまり無い気がする。黒人の集まるクラブ・ヒューイが流すラジオ・教会のゴスペル・テレビ・フェリシアのライブと日常的な音楽が中心だから、「歌うこと」に違和感がない。勿論会話の途中から歌になるシーンもあるんだけども、耕史さんって「話すように歌う」「歌うように話す」ので、そのへんもすんなり入ってくると思う…。あとで思い返すと、あれっあのシーン歌だっけ台詞だっけ?とわからなくなったりするくらいには自然なんですよね。

で。
そんなメンフィスにおける山本耕史めっちゃ可愛いんです。
時代劇をやっている時の冷静沈着さ、融通のきかない堅物っぷり、どこか儚げな繊細な雰囲気…は、どこへ仕舞った!?!?ってくらい、ちょこちょこ動き回り舞台上を駆け巡り歌って踊る。衣装がなんだか芋っぽくて、ダンスが妙にダサくて、しゃべり方も変わっている(ただし歌はめちゃくちゃ上手い)。すぐ人にちょっかいをかける落ち着きの無さはまるで子どものよう。どの仕草もあまりに自然で、素はこういう人なのか?と思ってしまいそうになるけども、全て演技なんですよね…。テレビや時代ものだとまず見ることはないそんな彼の姿がもう、可愛い。

そんな中、どれだけ周りに批判されようと「好きなもの」を「好きだ」と言う、一本の芯は一切揺るがない。そんなところはめちゃくちゃかっこいいし、胸を打たれる。好きなものを好きって言えるのって、幸せなことなんだなぁと。

歌う、踊る。ちょっとだけどピアノも弾く、笑って泣いて怒って恋をして、ヒューイという人物が舞台上で生きている。それがたまらなく愛しいんです。是非劇場で見てほしい。

 

再演、ということでかなりブラッシュアップされ、演出もガラリと一新。とても見やすくわかりやすくテンポよく、とてもパワーアップしています。

公演後のリピーターチケット売り場に長蛇の列ができるなど、口コミでどんどん評判が広がっているので、良い席取るなら今のうち!

 

公演日は12/2(土)~12/17(日)二週間しかないよ!
会場は新国立劇場京王新線初台駅直結、新宿駅からなら歩いて20分強)
各プレイガイドでまだまだチケット取扱中です!ぴあe+なら座席選択ができるのですが、今回の演出的に後方や二階席もおすすめ!

そしてなんと!U-25チケットは5500円!!数に限りがあるのでもう買えない日もあるのですが、これめちゃくちゃうらやましい……わたしも25歳になるまでにもっと色んな舞台をお安く見たかった…!!!

地方公演はありません(なのでわたしは今月必死こいて遠征をしています。)が、その分新国立劇場の機構で色々な挑戦をしているので、それも見てほしいポイントです。

 

わたしはこの作品が本当に大好きで、今回再演が決まってからずっとウキウキしていて、それと同時に初演が好き過ぎる故の不安もあったのですが初日で全部ふっとばされて。初演千穐楽以上に泣きました。
耕史さんが好きなのでどうしてもヒューイメインの話になってしまうのだけれど、どの登場人物もとても愛おしい素晴らしい作品です。

毎日でも行きたい、ずっとメンフィスの世界に浸っていたい。関西在住という身ではそれも叶わないので、せめて私の代わりに、いや私のことはどうでもいいからこの素晴らしい作品を見てくれ!というゴリ押しマーケティング記事でした。

 

ところで耕史さん、そろそろ関西での公演しません?(約3年間無い)