DVD化されてないのに、かなりの若手俳優クラスタが一度は見ているであろう里見八犬伝が再々演されるそうですよっと。

 

こう…色々ツッコミどころが多い作品ではあるのですが、おそらくわたしが初めて行った2.5以外の「若手イケメン舞台」(って言い方も良くないんだけど)だったので思い入れもあるんです八犬伝。何よりキャラ造形とビジュアルはすごく好きだった…再々演、キャストによっては行ってしまいそうな気がする…

って思い出してたら懐かしくなったので当時の感想をサルベージ。やっぱり親兵衛の項に「早乙女友貴/高杉真宙」って並ぶの面白いですね。(TRUMP的な意味で)

以下コピペです。基本的に敬称略。

 

 

◆前提

・2012年の初演版は大阪公演を一回見ました
その時の感想→

www.pixiv.net

・予習として舞台までに岩波から出てる原典で5巻まで読んだ(その後全巻読んだ。普通におもしろかった。)
・他に見たのはM&Oplays八犬伝(2013年/阿部サダヲ主演)・TBSドラマ八犬伝(2006年/滝沢秀明主演)

脚本、演出については他の方が考察とかしてくれていて、わたしの言いたいこと全部言ってくれてる感じがするのでキャラのみの感想でいきます。
キャストの過去作品の話もめっちゃするのでただの役者オタの戯言です。
初演の話結構忘れているのでトンチンカンなこと言ってたらすいません。

信乃(西島隆弘/山崎賢人
どちらもかわいい系男子なんだけど、にっしーは声高めで賢人は低いのでそこが一番違ったかなぁ。西島信乃は浜路連れて逃げるのもお義父さん殺しちゃうのも仕方なく殺っちゃったできれば殺したくなかったって感じがあったんだけど、賢人信乃は脚本追加で出自がはっきりした分お義父さん(というか大崩)をめっちゃ恨んでるのがわかるので、殺したこと自体はそんな後悔してないような。それぞれやさぐれ方が違う。ダークヒーロー感あるのは賢人信乃かな。ってかもしかして口調も違う?賢人信乃は「~じゃねぇよ」っていうヤンキー感あったけど西島信乃はもうちょい口調がきれいだったような…?大河でのイメージが混ざってるかもしれん。声のイメージって大事。殺陣は普段ダンスしてるにっしーの軽やかな感じが好きです。

荘助(渡部秀/村井良大
あとで小文吾の項でも書くと思うけど、初演が発表された時この二人のキャスト逆だろ!!って言ってたんですがまさか本当に村井が荘助をやるとは…。
結果的に、信乃と仲が悪く結構自我が強い荘助と、農民で畑仕事しながら弟妹と一緒に暮らす小文吾という設定を見ると渡部荘助と村井小文吾はすごくよかった。
にっしー信乃と並ぶと身体も大きく、きっとガチで戦ったら自分の方が強いであろう渡部荘助(負けてたけど)が抱えるコンプレックスはすごくわかりやすかった。あと普通に舞台映えするんよね秀君。これが初舞台だったとは思えない。真田十勇士も素敵でした再演楽しみ。
村井荘助は個人的に原典荘助のイメージ(ちょっと貧乏クジひいたりここぞと暗躍したりするあたり)にぴったりで、だからこそ舞台設定の荘助に違和感を感じてしまった。それほど小文吾が良かったからかもしれないけど、脳内では良い子な荘助がすっごい悪態ついたりしてるのにoh…ってなった。
村井の細かい演技は今回も健在で、人が話してる時の視線や表情はほんとすばらしかったです。最近見る村井が青真田の六郎とマホロバのザッパだったのでもっと救われる役もやってほしい…

道節(加藤和樹/馬場良馬)
和樹道節はヒゲだし悪役メイクすごいしで最初出てきた時誰かわかんないほどだったので、ばばりょ道節めっちゃ爽やかやな!ってちょっと笑った。初演感想でこの道節めっちゃ胡散臭いからマジで火遁の術使えそう…って言ってたらばばりょ道節めっちゃどっかんどっかん火薬使ってて更に笑ってしまった。あれ結局どういう能力だとか説明なかったけど原典未読の人はどう思ったんだろう…気になる…
刀の構え方は変わっていたけど、親子関連の脚本は変わらず。今回も良い裏主人公でした。先述した悪役メイクのせいで和樹道節は悪堕ちしきってる感じで、ばばりょ道節はまだ心のどこかで父親を探している感じ。このへんは丶大役の違いもあるかも。

小文吾(村井良大/荒井敦史
荒井小文吾にあんまり農民感がないなと思って見てたら元武士という設定追加(?)されてて納得。芋持ってきたりとかしてなかったよね?でもその設定があったならぬいと房八が襲われた時にもうちょっと抵抗すんの頑張れよ…!とも思ったり。
村井小文吾は優しい(けど怒ると怖い)あんちゃん、荒井小文吾はちょっと荒っぽいけど心は優しいあんちゃんって感じ。中の人の年齢のせいかもですが、5~10歳くらい歳の差ありそうなんだよな。色々悟って大人びてる村井小文吾とまだ若くて青い荒井小文吾。
ただ、荘助と逆だろ!って思ってた村井があまりにハマッてたせいで荒井くんの印象が自分の中でちょっと薄目で…。体格に差があるので殺陣とかに違いが出てたと思うんだけども。荒井くんごめん。

親兵衛(早乙女友貴/高杉真宙
原典だと房八の息子が親兵衛なんで、初演で房八やってた真宙くんが再演で親兵衛やるってのはとても興味深かったです。
ただ殺陣に関してはどうしても比べてしまうだろうからどうするんだろう…?って勝手に不安になってたんですが、玉の力をフル活用したり刀引き寄せたりとファンタジックな殺陣になっててびっくりした。そういう方向性で来たか!玉の力使いまくるのは親兵衛っぽくて良い。
こどもっぽくて、人の心がよくわからないというキャラは同じなんだけど早乙女親兵衛の方が底知れぬ恐ろしさがあって、高杉親兵衛は頭の良いだけのこどもって感じがする。ただこれは直前まで鎧武のミッチを見ていたせいな気がする。友貴くんは八犬伝で初めて見たし。
真宙くん舞台でもっと見たいのでこれから経験積んで欲しいです。

毛野(矢崎広/玉城裕規)
玉ちゃんさん。ペダステは見てないので動くとこ初めて見ました。美人さんやなーぴろしとは顔の系統が真逆。濃い目の顔に女の化粧して女田楽の格好ということでなんかやたら濃くて、男が女装してます感が逆に出ちゃってたかも。矢崎毛野は切れ長系のメイクで和服美人って感じだった(どっちにしろ女装感はあるんだけど)そういう意味で女→男のギャップが大きかったのは矢崎毛野の方かな。
柿食べながら適当に人の話聞いてる毛野が可愛かったけど再演ではなかったのが残念!
毛野に関しては設定追加も特になくて、大きく変わったところはなかった?と思う。矢がいっぱい刺さったりはしてたけど。

大角(市瀬秀和/丸山敦史)
結構変わっててびっくりしたのが大角。元ヤン(という言い方も酷いが)設定って前もあったっけ?なかった気がする。
化猫退治はないし現八と一緒にいないので大角個人の見せ場がなくなってどうしても影薄くなっちゃって、市瀬大角はほんと説明+殺陣要員(そのかわり対大人数殺陣はめちゃくちゃかっこよかった)キャラになってたから丸山大角のラストバトルはほんっと良かったです。殺陣が荒削りなのも良かった。再演の恩恵を一番受けてると思う。親兵衛とは違うパターンで、殺陣がどうしてもグレードダウンしちゃうのをカバーした感じ。
ただそっちの設定盛ったからか瘴気の影響をかなり受けて弱ってるってところが薄くなってたので、あとから思い返すとあれ?丸山大角なんであんなに咳き込んでたんだっけ?って思った。まるっとなくてもよかったかもしれない。

現八(荒木宏文/石垣佑磨
これまた見た目が正反対。再演現八石垣さんだと聞いた時にめっちゃ合うな!って思ってたけどほんと合ってた。腕っ節だけで生きてきた不器用な武士。あらやん現八は線が細いせいかちょっとプレイボーイ感があるというか、ぬいちゃんからのアプローチも普通に受けてたし人の話を敢えて聞かずに寝転んだり違う方向見たりしてた。石垣現八は単純に空気読めなくて人が話してんのに薪割ったりしてた。アドリブ部分といい、重い話に少し笑いを入れてくれるのがありがたかったです。
同じように牢に囚われてたわりにはグレてないんですよ石垣現八。あらやん現八は何を信じればいいのかわからなくなってちょっとグレてて、石垣現八は何を信じればいいかわからん!けどそのうち信じるものが見つかるだろ!くらいの明るさ。いや悩んではいただろうけど。
あと初演での早乙女・市瀬の殺陣得意組が抜けた分再演では石垣さんに期待してたら案の定キレキレの殺陣を見せてくれてすごく満足です。

 

浜路(森田彩華/江田結香)
どちらも知らない方だったので先入観なく見てたんですが(江田さんはフォーゼに出てたのあとから気付いた)、森田浜路が生き返ったあとも守ってあげたい系女子だったのに対し江田浜路の強そうなこと…!!手を使わず起き上がったのめっちゃびっくりしたし、そのあとのくノ一衣装替えには「!!!??」ってなってた。ちょっと露出が極端すぎじゃない?特技の新体操を活かした殺陣はかっこよかったけども。
正直初演の浜路のイメージが薄くて、原典以上に可哀想だな…って思っただけなので再演でここまで濃いキャラ付けされたらインパクトはありましたが、この浜路と一緒になりたい(死にたい)かってなるといや…そうでもないんじゃない…?って思ったり。
結局誰からも愛されていなかった浜路だけども、どちらかというと江田浜路の方が救われた感じがする。村井荘助の演じ方のおかげかもしれないけど。

丶大法師(山口馬木也/松田賢二
再演キャスト発表された時ケンジマツダとばばりょが親子に…!?ってだいぶ笑ってたんですけどこっちの親子もめちゃくちゃ素敵でした…。山口丶大の色んな修羅場乗り越えてきた只者じゃない感も好きだけど、こいつ絶対坊主じゃねぇ!って胡散臭さは松田丶大がさすがでした。仲悪い八犬士をまとめる(一瞬だったけど)感じは学校の先生みたいだなーと思ってたんだけど、山口丶大が生活指導の先生で松田丶大は元ヤンの先生みたいな?
再演の方がなりふり構わず伏姫に言い寄る必死さと後に退けなさがあったんだけど、これは富山の祠が初演は舞台下手にあって再演は中央にあったからかもしれない。松田丶大めっちゃウロウロしてたし八房にも食って掛かってたし。山口丶大は上手から語りかける感じだった気がする。
若手キャストばかりの中でどっしり構えてくれていて安定感があるので、出てくるとなんだか安心するお二方でした。

左母二郎(小澤雄太/猪塚健太)と悪四郎(横山一敏)
一番びっくりしたキャスト変更。正直初演左母二郎はJAEさんの誰かだと思っていて(横さん悪四郎と一緒にいるから)、二刀流だったことくらいしか覚えてなかったのでそこに猪塚が入るの!?どうなるの!?って不安だったんですけどキャラだいぶ変わった…のか…?本当に覚えてない小澤左母二郎。すいません。
白の着流しで髪を後ろで束ねてて、悪役っぽくないキャラ造形だなーと思ってたら声が低くてびっくりした。そういえば猪塚の声はレスキューフォースでしか知らなかった。今回も二刀流で、やっぱりメインは現八とのバトル。現八の殺陣が動だとすると左母二郎は静って感じでスマートなかっこよさでした。
八犬士も里見の殿も伏姫(霊)も丶大も、クズしか居ねぇ!っていうこの舞台で唯一まともなキャラだよなと思います左母二郎と悪四郎。原典ではどっちもただの悪役なのに。玉梓に最期の瞬間まで仕えていて、化物と化してからも玉梓のために行動する。THE★武士の鑑じゃないですかちょっと八犬士見習って!この二人を!
横山さんが唯一の同役続投でいいんですかね?それは嬉しかったんだけど、早乙女親兵衛とのラストバトルが好きだったのに再演では高杉親兵衛じゃなく玉梓にうっかり殺される感じになってたのがすごく残念!でもやっぱり横さんの悪役素敵!!

伏姫・玉梓(香寿たつき/白石美帆
香寿さん圧巻過ぎた…多分私が舞台で初めて見た元タカラジェンヌ。白石さんだと迫力があまり無いんじゃないかと思ったら、そもそも再演玉梓がかなりか弱い存在になってた。そして伏姫は前以上に電波っぽくなっていた気がする。っていうかこの舞台の玉梓悪くないよな?
伏姫と玉梓の演じ分けは良いと思うんですけど、ラストで玉梓の衣装のまま伏姫として台詞を言うシーン、ややこしいな!着替え間に合うやろ!って言ってたけど再演でもそこが変わってなかったので演出的なこだわりなんだろうか…?
ただ伏姫はそもそも出番が少なく、ラスボスの割には玉梓が邪悪な存在でもないためにこの二人の印象自体が結構薄め。その分八犬士に尺が言ってるもんなーやっぱ舞台の尺で八人は多いんだろうなぁ…

義実・房八・ぬいについては初演の記憶も薄れてて今回どこが変わったかわからなかったので省略。すいません。